約 147,998 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/721.html
第5話 剣の舞姫(ソードダンサー) ついに来た。俺は、目前の多目的ホールの収まる建物を見上げていた。 今日、これからここで行われるのは”武装神姫ショウ”というイベントだ。 企業による次世代モデルの発表や会場限定品販売、個人ディーラーの自作品販売、新規ユーザー獲得の為の催しも充実している。 もちろんバトル大会も行われる。 バーチャルバトルで強くなったエルを公式戦に出すことを決意し、出場を申し込んだ。 会場前には、一般参加者の列が伸びており、今現在も伸び続けている。 俺はその列を横目で見ながら、メインゲートとは違う入り口へと向かう。 そこで大会招待状をみせ、入場証をもらい控え室へと案内された。 控え室はかなり広く、すでに数人の参加者が自分の神姫のチェックをしていた。 俺も与えられた一角に荷物を置き、持ってきたパソコンを起動させる。 「よし、出ていいぞ」 ペンケースのような箱を開けると、二人の神姫が起き上がる。 「マスター、いよいよですね」 「ああ」 アールの頭を撫でてから立たせてやる。 「あ、あたい……」 「緊張してるのか?」 無理も無い、この大会の模様はTVはもちろん、ネットにも配信される。 エルも同じように頭を撫でて立たせてやる。 「エル、ちょっとじっとしてて」 俺は、パソコンから伸びたコードをエルにつなぐ。 パソコンにさまざなな情報が表示されるが、異常個所は見られない。 「よし! OKだ」 コードを抜き、エルに答える。 それから俺たちは、パソコンに入れておいた簡易型ヴァーチャルバトルの対CPU戦用モードにてエルのウォーミングアップをした。 開始時間が近づいて、次々と参加者が入ってくるが、人数が少ない気がする。 「別にも控え室があるのでしょうね」 「だろうな」 アールに答える。 確かに、ここが広いといっても個人個人が持ち込む荷物がかなりあり、入れる人数が少なめみたいだ。 会場側もそのことを分かっているようで、個人に割り当てられたスペースがかなり広くなってる。 もちろん、俺のスペースも同様でパソコンとエルに使う武装一式と、メンテナンス用具しか持ってきていない俺にはかなり広い。 他の参加者を見回すと、およそ実戦向きでないようなドレスを着せている人、俺の用に2,3人の神姫を連れて来ている人などが居る。 「この全てがあたいのライバルなんですね」 俺が他の参加者を見ているのに気が付いたのだろう、エルがそう言ってきた。 「ああそうだ。こわいか?」 エルの頭を撫でると、ふるふると首を横に振る。 「ううん、マスターと姉さんがついてるから平気」 エルはニッコリと笑った。 控え室にスタッフが入ってきた。 「これより、武装神姫バトル大会が始まります。参加者の皆さんは、バトルに参加させる神姫を素体状態で持ち、順に廊下へ並んでください」 それを聞いた参加者が立ち上がり、神姫を連れて出て行く。 「じゃあ、行ってくるよ」 「はい」 アールにそう言って、エルを持ち廊下に出た。 スタッフに連れられて廊下を歩いていると、向こう側からも同じように歩いてくる集団があった。 二つの集団の合流地点で右に曲がり会場へと目指す。 ステージに全員が並ぶと、スポットライトが当たると同時に大歓声が巻き起こった。 『ここに集まった戦士たち。目指すは優勝という栄光。このステージに立てばルーキーもランキング一位も関係ない』 『あるのは、そう、今現在の能力の優劣のみ。さあ! 始めよう! 栄光を目指す挑戦者達の競演を!』 『注目せよ! これが栄光への階段だ!!』 大音量のナレーションと共に、俺たちの背後にある大スクリーンにトーナメント表が表示された。 バトル参加者に見えるように、ステージに置かれたモニターには同じ様子が表示されている。 『エントリーNo1』 ナレーションと共に個人にスポットライトが当たる。それと同時にトーナメント表に名前が入る。 名前が入るたび、ギャラリーから大歓声が上がる。そして、俺は一回戦最終組となった。 その後、俺たちは控え室に戻ってきた。 「まだドキドキしてるよ」 エルが胸を押えて興奮を隠しきれない様子だ。 「じゃあ、調べてやろうか?」 「やん」 俺がいやらしい指の動きでエルに迫ると、身を翻しエルが逃げる。 「あははは」 「うふふふ」 「くすくす」 俺たち三人は一斉に笑い出す。エルもリラックス出来たようだ。 しかし、異変は突然やって来た。 そろそろ準備をしようとしていたときだった。 「マスター!」 アールが叫ぶ。 アールの方を向くと、そこにはぐったりとしたエル。 「どうした! 大丈夫か?!」 エルの反応は無い。 急いでエルにコードを挿し、機能チャックする。 「原因不明の動力停止、それによりAIがスリープ状態か」 パソコンからエルに再起動指令を与える。 「反応なし。再起動できない……」 「マスター……」 心配そうなアールに説明する。 「エルは機能停止して、復帰出来なくなってる。AIはスリープしただけだから、起動さえ出来れば……」 「マスター、動く動力……ボディがあればいいんですよね」 「そうだが、そんなもの持ってきてないぞ」 最低限の物しか持ってこなかったことを悔やんだ。 「あります」 「え?」 俺はそういうアールに驚く。 「………ここに」 そういって自分の胸を押えるアール。 「使ってください」 「いいのか?」 コクンとうなずくアール。 「ごめんなアール」 俺はそういって、メンテナンスベッドにアールを寝かせ、機能停止させた。 ボディ破損などによる交換手順は知っていたが、いざ行うとなると違う。 胸部カバーを外し、CSCを引き抜き、壊れないように刺さっていたスロットをメモして紙で包む。 それから、アールのヘッドを外し、エルのヘッドと交換した。 エルのCSCをアールに刺し、カバーを閉じる。 「たのむ、起動してくれよ」 俺は祈るように起動指令を与えた。 「ん…んん」 エルが起き上がる。 「あれ? あたい、いったい」 「機能停止したんだ」 「そっか……え! どうして!」 自分の身体をみておどろくエル。 「起動できなくなったボディの変わりに使ってって言ってな」 エルに説明すると、泣きそうになった。 「エル、泣くな。エルは戦って勝つことだけ考えろ」 「うん……」 そういってエルは、頭だけのアールを抱きしめた。 「いくぞ」 「うん」 エルに武装をしていく。足にストラーフのレッグパーツ、太ももにアーンヴァルのシールドパーツ。 背中にサブアームユニットとアーンヴァルの翼にレッグパーツのブースター、肩にアーンヴァルのシールドパーツ。 頭にアーンヴァルのヘッドギアを付けた。 胸にストラーフのアーマーをつけたときエルが言ってきた。 「マスター、胸の名前のとこ、アール姉の名前も書いてくれよ」 「わかった」 そういって、胸に書かれた”L”の文字に重ねるように”R”を書いた。 背中にフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを取り付け、レッグパーツにアングルブレード。 手首にアーンヴァルのサーベルを取り付けて武装完了。 そこまで行った所で、スタッフの声がかかった。 「陽元さん、準備をお願いします」 俺は、不正パーツのないことを審査してもらう為、エルを提出した。 そして俺は戦いの舞台へと向かった。 ステージに上がると、再び大歓声に迎えられる。 バトル用のブースにつくとすでにエルが準備されている。 俺は、備え付けのインカムをつけて、エルとの交信状態を確認する。 「エル、聞こえるか?」 「おう、マスター聞こえるぞ」 「いいか、お前は一人じゃない。アールと一緒に二人で戦うんだ」 「マスター、その計算、間違ってるぞ」 「え?」 「あたいにはマスターの気持ちが注がれている。アール姉にもマスターの気持ち……いや、愛だな。アール姉の場合は」 「お、おい」 「あはは、気づいてないと思ったか? 相思相愛、熱いねぇ。とにかく、あたいとアール姉と、あたい達に対するマスターの気持ち。合わせて四人だ」 「……そうだな。だから絶対負けないさ」 「おうよ」 「いくぞ!」 「おう!」 バトル開始の合図が鳴った。 開始と同時にエルはヴァーチャルステージへと移る。 ゴーストタウンステージに光の柱が現れ、光が消えると同時にエルが現れた。 こちらのモニターでは確認できないが、相手もどこかに現れたはずだ。 エルは出現地点からまだ一歩も動いていない。 いや、動いていないわけではない。 その場で左右の踵を交互に上げ下げをしてリズムを取っている。 どこからともなく、猫型ぷちマスィーンズが襲い掛かる。 エルは尚も足踏み状態だ。 猫ぷちの砲撃がはじまるがエルには当たらない。 いつのまにかサブアームにフルストゥ・グフロートゥを持ち、くるくる回転させることにより弾をはじく。 猫ぷちが突撃してくると、エルは優雅に足を振り、足先の刃で突き刺し、地面に叩き落す。 しかし、身体の軸はぶれずに、サブアームのフルストゥ・グフロートゥを回転させたままだ。 「さて、そろそろ公演開始しようか」 「OKマスター」 にやっと笑いそういうと、エルは目を開き、アングルブレートを自分の両手に持ち、前方へ大きく飛び出した。 そして、身体を回転させると同時にアンブルブレードを振り、猫ぷちを斬ると光となって消えて、退場扱いになった。 「まず、2機」 身体の回転を止めると同時に、サブアームのグフロートゥを左右別方向に投げる。 刃の飛ぶ先に猫ぷちがそれぞれ位置して、貫通する。 「はい、4機」 猫ぷちの倒されたことによる退場を確認すると、アングルブレートをサブアームに持たせゆっくりと飛ばしたグフロートゥの方へ歩いていく。 辿り着くなり足先で思い切り蹴り上げると、そのまま回転し後方に回し蹴りを放つ。 足先の刃に今度は犬ぷちが突き刺さっていた。足を下ろすと同時に退場する犬ぷち。 エルはすっと腕を伸ばすと先ほど蹴り上げたグフロートゥが落ちてきて手に収まる。 驚いたことにグフロートゥには犬ぷちが刺さっていて退場していった。 「6機か、あと2機くらいいるだろう」 サブアームの手首を回転させアングルブレードを地面に突き刺した。 「7機目」 エルが呟くと、地面から退場の合図の光が漏れた。 突然エルが上を向き、身体を回転させてその場所から離れると、さっきまで居た場所に犬ぷちの乱射が降って来た。 サブアームのアングルブレードを軽く放り投げ、自分の腕で持つと、跳び上がり下から犬ぷちを薙ぎ払う。 「8機、これで打ち止めだろう」 エルは一旦全ての武器を収めた。 ここまでの戦いを見ていたギャラリーは静まりかえっていて、エルが武器を収めると同時に轟音と化した感性が沸き起こる。 見ていた誰もが同じ感想をもったことであろう。 それは戦いというより、”剣の舞い”だったと。 「エル、レーダーに反応は?」 「いまんとこ無しだぜ、マスター」 「そうか、こっちから動くか」 「OK! 恥ずかしがり屋さんを迎えに行きますか」 エルが探索の為に歩いていると、弾が落ちてきて煙幕を吐き出す。 「エル!」 「大丈夫だ! たぶんここから出たところを狙い撃ちっていうことだろうが、そうはいくか!」 エルはブースターを全開にして飛び上がる。 するとエルを追うようにマシンガンの乱射が迫ってくるが追いつかない。 エルが上空から確認した相手の神姫は忍者素体にハウリンのアーマー、両肩に吠莱壱式、背中からストラーフのサブアームを二対ついている サブアームには、STR6ミニガンを2門、シュラム・リボルビリンググレネードランチャーが2門装備されていた。 足はマオチャオのアーマーで、エルとは対照的な射撃に特化しているようだ。 轟音と共に両肩の吠莱壱式が火を噴く。 エルは上空に停止しフルストゥ・クレインを自分の腕で、サブアームにフルストゥ・グフロートゥを持つ。 四枚の刃を蝶の羽の用に合わせて防ぐ。 さらに、グレネードランチャーやミニガンをも合わせて撃ってくるが、四枚のグフロートゥとクレインで全て防いだ。 銃は効かないと思ったのか、忍者が飛び上がりハウリンの腕が下から襲い掛かる。 「気をつけろ! 射撃戦用が接近してくるのは、何か隠してるぞ」 俺はエルに注意を促す。 「分かってるって」 エルは上体を反らせてかわし、そこから地面へと急降下。 その一瞬後、エルの居た位置に相手の背中から伸びた、マオチャオの腕に取り付けたドリル空を切る。 エルより遅れて着地した忍者がマオチャオの腕を出すと、両腕にドリルがついていた。 ハウリンとマオチャオの腕、サブアームが二対、合計八本の腕が出揃った。 「まるで蜘蛛だな…」 正直な感想をもらす俺。 「マスター、作戦は?」 「んじゃ、蜘蛛の足から落としていくか」 「OK! 派手にいくぜ」 エルは相手に向かって飛び込み、発射間近だった吠莱壱式にアングルブレードを刺しこみ、バク転で逃げる。 大爆発と共に吠莱壱式とマオチャオの腕が吹き飛ぶ。 「まず二本!」 エルが叫ぶ。 爆発でうろたえる相手の頭を優雅に飛び越えの背後に回り、フルストゥ・クレインとフルストゥ・グフロートゥをサブアーム基部に突き刺す。 そして、ジャンプして足で押し込むとそのままジャンプして飛び越える。 「これで六本!」 倒れた忍者が起き上がると同時に、ビームサーベルを両手に持ち懐に飛び込んで相手を貫いた。 相手は、ヴァーチャルフィールドから消えてエルの勝利が決定した。 エルはビームサーベルを収めて左手を腰に当て、右手は頭上に高く掲げる。 そして、タンタンと大きく二回足踏みをして音を鳴らすと、キッとポーズをとった。 この日最大であろう、大歓声がエルと俺を祝福する。 控え室に戻った俺たちは、結果をアールに報告した。 「アール姉、勝ったぞ」 エルは武装をつけたままで、アールの頭を抱きしめる。 「よくがんばったな」 俺はエルの頭を撫でる。 「この調子で二回戦もがんばるぞ」 「おう!」 エルは勝ち進み、ベスト8まで行ったが、そこで負けてしまった。 そのときの相手が今回の優勝者だった。 俺の部屋の本棚の最上部に二つ目のアクリルケースが置かれることになった。 一つ目には、壊れたストラーフの素体。 二つ目にはストラーフの胸アーマーをつけたアーンヴァルの素体がストラーフの素体を抱きしめている姿になっている。 頭がない分ちょっとシュールになってしまっているが。 結局、エルの素体は起動しなくなったので新しいのを買った。 エルの使ったアールの身体をアールに戻すと、記念だから残して欲しいと言われ、アールの素体も新品にした。 それからもアールとエルは仲良くダンスをして俺はそれを眺め、エルをバトルさせるといういつもの生活が続いている。 大会を見ていた誰かが付けた、エルの二つ名”剣の舞姫(ソードダンサー)”が日本中に広まるには、あと少し時間が必要だった。 戻る 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2301.html
アスカ・シンカロン01 アスカ・シンカロン02 アスカ・シンカロン03 アスカ・シンカロン04 アスカ・シンカロン05 アスカ・シンカロン06 アスカ・シンカロン07 アスカ・シンカロン08 アスカ・シンカロン09 アスカ・シンカロン10 アスカ・シンカロン11 アスカ・シンカロン12 アスカ・シンカロン13 アスカ・シンカロン14 アスカ・シンカロン15 アスカ・シンカロン16 アスカ・シンカロンの登場人物共 ※激しくファンタジー要素が入ります。 武装神姫の世界に魔法とかありえないという人にはちょっとアレな内容かもしれません。 のっけからベビーな展開、どんな話に成るか楽しみなので、何も考えずに読ませて貰いますね、頑張って下さい -- ナナシ (2011-01-02 08 54 35) 神姫にはファンタジー要素が足りないと常々思っておりました。 書いてくださってありがとうございます。 続きを楽しみに待っています。 -- にゃー (2011-01-02 23 19 29) ナナシさま、にゃーさま。コメントありがとう御座います。 ご期待に添えるよう頑張らせていただきます。 -- 名無しさん (2011-01-03 20 17 21) きたキタきたキタ〜不思議展開、こう来ましたか、どんな扉が開くか楽しみです -- ナナシ (2011-01-04 05 21 25) こんな感じで開きましたが如何でしょうか?>にゃーさま。 途中で真相に気づかれずにヒントだけ出すのが難しいです。 と言っても推理要素は皆無ですが…。 -- 名無しさん (2011-01-06 00 14 13) 死んだ人が違う、位の不思議が起こっても変じゃ有りませんね、いいですねぇ〜この引き込まれる感覚 -- ナナシ (2011-01-06 03 23 20) 方向性が間違っていないだけに、それ以上深く考えないで~。>ナナシさま 現実にはありえないような事がトリックですので推理モノではないですよ? -- 名無しさん (2011-01-07 00 40 33) 06読ませていただきましたー なんだかすごい展開にw -- 璽儡 (2011-01-07 00 51 16) ハ〜イ、頭空っぽにして楽しもうと思います、それにしても書けるだけで凄いのに、このハイペースには脱帽です -- ナナシ (2011-01-08 14 22 45) 弥涼さんヤンデレも行けますので!>璽儡さま 一応エンディングまでに起こすイベントや必要なセリフを箇条書きで先に纏めてあります。 ですので話しに行き詰ったら章を変えるという方針で行くと早いかもと試している最中です。上手くいけば1月中に終わるんじゃないかと想像。>ナナシさま -- 名無しさん (2011-01-09 00 07 30) 筋書等、材料は既に下拵え済みでしたか、それでも凄い速さですなぁ、初戦からリアルバトルとはやりますなぁ、撃沈後に「バーチャルだから大丈夫なんだよ〜」って来ると思ってました(笑) -- ナナシ (2011-01-09 02 33 07) 命懸けでバトってるのはこいつらだけで、他はBladeさんの漫画みたいに頭身低めの神姫たちが目を(><)こんなにしながらポカポカやってると思うので初戦実戦でも問題ないです。…そもそもコイツ等、中身チートですし。>ナナシさま -- 名無しさん (2011-01-10 00 27 48) も、もう8話ですか、早いのです! ヽ(≧∀≦)ノキャー なんてはしゃぎつつガチバトルに巻き込まれる神姫達・・・カワイイのです -- nya- (2011-01-10 00 53 17) たぶんここらが折り返し。ひぐらしなら目明し入ったあたりですかね? ヽ(≧∀≦)ノキャー 神姫たち。 きっと爆発に巻き込まれてコロコロ転がったり、アフロになったりしてる筈。 >一個上の方はにゃーさまですかね? -- 名無しさん (2011-01-11 00 10 53) アスカシンカロンのメニューへの追加、ありがとう御座います。 -- 名無しさん (2011-01-11 00 22 27) 楽しく読ませてもらってますー ただちょっと展開が急すぎてついていけてないかも…? -- 璽儡 (2011-01-11 01 27 42) nya-はにゃーです。 変換し忘れまして、失礼しました。 -- にゃー (2011-01-11 21 12 38) 携帯だと01の斜め下に09が入ってます -- 名無しさん (2011-01-11 21 44 10) >璽儡さま。 箇条書きプロットの弊害ですかね? 起こすイベントが決まっている分脇道に逸れないので早く書ける半面掘り下げは不足するようです。 もとより文章力が不足しているのだとすると早急な改善が不可能なので。 新キャラ(悪友)の登場が唐突過ぎるのはある意味仕様ですのでお目こぼしを。 あとは最終話でしか出て来ないですが…。 -- 名無しさん (2011-01-13 00 10 10) >にゃーさま。 了解です。 にゃーでもnya-でもお好きな方でどうぞ。 (実は密かに15cm程度の死闘のTOPページのカウンターに感銘を受けたりしてます) -- 名無しさん (2011-01-13 00 13 29) >名無しさん 携帯でのチェックありがとう御座います。 私の携帯はネットに繋ぐと2分ほどでバッテリーを使い果たすヘタレなのでチェック不能でした。 この手がダメとなるとどうしたモンでしょう? ページが長くなっても害が無いなら気にしなくて良いですかね? -- 名無しさん (2011-01-13 00 16 28) 長くなっても良いと思いますよ、私の場合携帯がメインなのですが(見た時には検証済みだったので書きませんでした)長さは気に成りませんでした -- ナナシ (2011-01-13 01 26 04) >ナナシさま。 携帯で問題ないなら長くなるけどこのまま下に繋げます。 あと5話程度ですので最後までお付き合い下さい。 -- 名無しさん (2011-01-14 00 23 17) 量○テ○○○トネタだったんですね(ネタバレに配慮して伏せ字 -- 林田 (2011-01-17 14 53 36) >林田さま。 その通りでございます。 四次元とか時間移動とか匣猫とかの哲学とSFの両方に繋がりそうなネタは大好きですゆえ。 -- 名無しさん (2011-01-18 00 36 06) 確かに今までに無い展開、こう言うのも有りですよねぇ……あれ?片方が消えたって事はつまり(これ以上野暮は言いますまい、座して幕を待つとしますか) -- ナナシ (2011-01-18 01 55 21) 種明かしと同時に明かされる、著者の正体! アルティメットビックリ! -- にゃー (2011-01-18 21 43 32) >ナナシさま。 大丈夫!! そういう時のための○様です。 -- 名無しさん (2011-01-21 00 45 32) >にゃーさま。 済みません、隠してた訳じゃないんですよ? 編集ログ見ればバッチリALC名義で編集されてますんで。 ただ、名乗り忘れた事に気づいた頃には既に名乗りだし辛く…。 -- 名無しさん (2011-01-21 00 47 28) 完結おめでとうございます。にゃー様と同じく、著者の正体にアルティメットビックリです(^^; ファンタジーなストーリーでしたが、違和感もなく綺麗にまとまっていて、さすがです。あちらの作品の続きも期待しております。 -- トミすけ (2011-01-23 23 20 43) 最初のほうの重~い話からどうなることやらと思っていましたが、ああ、ハッピーエンドほど素晴らしいものはありません。 乙です! -- にゃー (2011-01-24 00 22 05) こう来ましたか、最後まで美味しく頂かせてもらいました、願いを小さな感謝にする所が又いい、ごちそうさまでした(合掌) -- ナナシ (2011-01-24 21 41 02) >トミすけさま。鋼の続きも書きますが、もう少しお待ちを。 >にゃーさま。ですよね~、やっぱハッピーエンドの方が後味が…。 >ナナシさま。 お粗末さまでした。最後までお読みいただいてありがとう御座います。 -- 名無しさん (2011-01-25 23 03 56) 名前 コメント 本日の参拝客 - 人。 集った信仰心 - 礼。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1301.html
WEB拍手へのお返事と、メッセージログのページ。 WEB拍手へのお返事。 メッセージログ WEB拍手へのお返事。 4月1日限定ネタについて。 くはははははは、騙されおったか、皆の衆。 世は満足じゃ~♪ まあ、イベントですのでこういうのもありかと。 5/4 作戦成功。この作戦、半月に一度位更新できたら良いのですが、ネタが…。 5/5 インターミッション08、某エイジと~ との事ですが…。 エイジはよく覚えていませんな~。なにせ最後に読んだのはもう『ん』年前の事ですし…(私の高校には図書室に普通に漫画があったのですよ)。 5/6 神姫愛好者さま。 このページは半分貴方の為のページです(5/23現在)。 感想の一つ一つがオラの元気玉を大きくするんだ! 5/11 神姫愛好者さま。 10回全部に違う物を書いておりましたよ。 …それからあのカニデカ、良いですよね。ファイナルベントのやっつけ仕事っぷりがまたなんとも言えずに良い味出してます。 某PSの格闘ゲームでは王蛇より強いんですが…(バイザーが武器な時点でかなり有利)。 5/22 神姫愛好者さま。 これから先ですか。それは読んでのお楽しみって事で…(これでアイゼンが一回戦敗退とかしたら皆困るだろーな)。 あとAC4fAは面白いですぜ旦那。 原稿用紙一枚分も無いセリフでキャラが立つ奴連打。 シナリオも分岐式で両勢力どちらの切り札にもなれますし、あっと驚く仕掛けがいくつもあります。 4時代からの引継ぎキャラに隠しイベントの山(例えば、とあるミッションで僚機が敵に向かって行った後、しばらくその場で待っているとオペレータの女の人に『お前も行け!!』と叱られます)。いやあ、語ると尽きないのでこの先は自粛。 AC好きなら買って損は無いのでは? 5/29 神姫愛好者さま。 同士討ち万歳。それからネコはバトルには使いづらいのですが、日常ネタはすごい出てくるので困ったものです。いっそ奴が主役の方が良かったかも…。 6/29 マヤアさんはスゴイっす。……色んな意味で。それから例の鳥子、実はランク9の人より強かったりする。……まあ、マヤアさん相手ではサザビー相手にザクかグフか程度の差でしかないけれど……。 6/29 そう、真の強者は戦わずに……、って違うから。そうじゃないから。あれを強者の見本にしちゃダメーーーッ!! 7/1 ご愛読、及び初拍手、有難う御座います。拍手コメントがとても励みになります。無理をしない程度に頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。……この文章、ちと硬いですかね? 7/6 WEB拍手の文字を左揃えにしたくてスキンを弄ってみたのですが、これしか左揃えになるスキンが無かったのです。……しかし意外に好評なようで、これがメイド効果と言うものでしょうか? 9/6 ほぼ二月ぶりのメッセージでした>土下座さま。 前から趣味が合うとは思っていたが、まさかこれ程とは……。 因みに、オラトリオ以降ALCはスペシネフとサイファー → マイザーγ、スペ戦を使ってましたね。(近所のゲーセン潰れて半年ほどやってませんが……) 9/7 やっぱりマヤアは凄いですね~。いやもう、マジでこいつを主人公神姫にすれば良かったと……。 それから募金5円も有難う御座いました~。 9/28 有難う御座います。>土下座さま。 アイゼンとデルタのバトルにもご期待下さい。……ちゃんと面白く書けると良いのですが……。 メッセージログ 容量対策に、メッセージの格納ページを作成。 残虐とかはどうなった? -- 名無しさん (2007-09-14 15 09 05) 遅レス申し訳ないです。あのネタは残虐度を薄めて再構成中です。いつの日か日の目を見るときが来るでしょう。・・・たぶん。 -- ALC (2007-09-15 19 50 08) http //proxy.f3.ymdb.yahoofs.jp/bc/78c0fc3e/bc/c128/%a5%b9%a5%c8%a5%e9%a5%a4%a5%af%a1%a6%a5%d5%a5%e9%a5%f3%a5%ab%a1%bc.jpg?BCiPl7GB3GMVsMbu -- 写真、明るさを調整しました。良かったら使って下さい。 (2007-09-17 18 50 55) ごめんなさい。理由は不明なのですが見れませんでした。 -- ALC (2007-09-17 23 13 14) http //www.mediafire.com/imageview.php?quickkey=6ttzukx3m71 thumb=4 -- 慣れないツールの使用でこちらも手落ちがあったかと。今度は大丈夫のはずです。何かに使えるとは思いますので、お渡ししておきます。 (2007-09-18 15 13 14) ども、ミヤコンです。フランカー格好いいですねw まさかアーマーになるとは・・・・それにしても鳥子は組み変えしやすいですね。 -- ミヤコン (2007-09-18 16 27 01) 遅レスでごめんなさいなALCです。 そしてまたもや見れない画像(泣)。私のPCが原因なのでしょうか? ファイアーウォールとか? -- ALC (2007-09-19 22 42 36) ミヤコンさまお褒め頂きありがとう御座います。 まったく鳥子の便利さときたら・・・。 誰ですか、鳥は一個で良いやとか言って一個しか買わなかったALCは? もう近所の店では鳥子売ってないじゃないですか!? 二個買った魚子はいっぱいあるのに・・・。 さて、フランカー(いまだ仮)の件ですが、白子+鳥子がベースである以上できるんです。 そう、黒鳥子を入手すれば黒いフランカー(仮)ができるんです。 そちらの名前をどうしようかと考え、いまだ(仮)な訳なのです・・・。 ・・・遅レスな上に長々と失礼しましたALCでした。 -- ALC (2007-09-19 22 48 22) 「神姫の構造について~」、拝見しました。よく考えられていると思います。少なくとも、読んでいて矛盾は感じませんでした。 -- 土下座 (2007-09-23 00 59 36) 途中送信失礼しました。私も漠然とは考えていましたが、「腹部に関節がないのは、やっぱり神姫のボディで一番容積を稼げる部分だから、ここに関節をつけちゃうとバッテリーとかも小さくせざるを得なくて活動時間が減るのかなー」くらいの曖昧さでしたがw あと一般論ですが、世間のサブカルチャーは、エロと賭け事の存在が定着の鍵と聞いたことがあります。つまり世間にこれだけ定着していると言う設定の武装神姫は、逆説的にエロの存在が(ry -- 土下座 (2007-09-23 01 03 47) 土下座さま。お読みいただきありがとうございます。えろボディはありますよねきっと。一般販売なのでデフォルトにあるかどうかは微妙ですが。 実は次回のえろらぶシリーズはそれ関連のネタだったり…。 さて、本編八話とどちらが先に更新できるのやら…。 筆を早くしたいALCでした。 -- ALC (2007-09-24 00 42 34) にゃー -- 名無しさん (2007-09-25 10 33 58) にゃー? 意図が分かりませんが一応返礼します。 にゃー。 -- ALC (2007-09-26 01 11 21) いつの間にか2036HITを超えておりました。当初の目的であっただけに感無量です。来てくださった全ての方に改めて感謝いたします。 -- ALC (2007-09-29 03 19 03) この下にさりげなくネタが仕込んであるのに今気付いたw -- 土下座 (2007-10-29 23 23 35) ↑ぱっと見何が何の事だか分らなかった俺、参上。こんな所にこんなネタを仕込むとは……俺もマネしよw -- 神姫愛好者 (2007-11-01 07 35 07) カモメとウミネコの件で突っこみを入れたものです。大変ご無礼いたしました。出来たらメールでも差し上げようとアドレスを探したのですが、連絡先がWeb拍手しか見当たらなかったもので……。あの時の投稿は、ハンドルネームを含め、全て公開して下さって構いません。特に問題ありません。 -- 男爵 (2008-04-17 15 11 38) と言う訳で、男爵さまより『カモメとウミネコは違う鳥です』という旨のご指摘を頂いておりました。 分類上近似ではありますが、別種の鳥です。 生態も少々違うようですが、どちらも『カモメ科カモメ属』の鳥なので、広義の意味で『カモメ』と呼称していました。 ついでに、真紀を混乱させて遊ぶ為でもあります。 -- 以上、ご指摘ありがとう御座いました。ALC (2008-04-22 00 13 38) 初めまして、何時も更新を心待ちにしながら拝見させていただいております。登場人物の『藤堂晴香』『藤堂奈津子』の名前と『南の島で怪しい研究』でピーンと来たのは自分だけの筈……だと思いたい( -- 通りすがり (2008-05-23 17 18 36) あ、あのね。別に、南の島で仲間とバカンスに行ったら、別のグループの女の子とかと仲良くなって、海洋生物と戯れたり、しばかれそうになってみたり、あまつさえお母さんが出てきたりするゲームとは関係ないのよ。偶然の一致、この作品はフィクションなの。……余計な事言うと、ラスボスまで取っておこうと思ったらサメには使えなかったライフルが火を吹いちゃうかもしれないよ? -- 隠し事の下手なジョーカー(ALC) (2008-05-23 23 59 55) 先生!要塞さんの写真がいつの間にか武装一覧から消えてます、どこのどなたの陰謀ですか! -- テンチョーの中身 (2008-07-07 19 47 09) 慌てるな、これは孔明の罠だ!! ……と言う事で、要塞さんの写真、復活です。 ん? 前と違う? 気のせい、気のせい。 -- ALC (2008-07-14 23 45 51) 待ちました……ずーっと新作を待っていましたよ。にしても、要塞さんすげぇ、これなんてAF? -- HPが消えて寂しいジョーカー的突っ込みした通りすがり (2008-08-14 12 46 57) Σ(゜△゜) あのHP、マジで消えてる!? ……そして要塞さんは、AFだけにパイルに弱い、と。……って、誰が上手い事言えと!?(爆) -- 長らくお待たせしました、ALC (2008-08-15 00 55 36) もう止めてマヤア! 祐一のライフはとっくにゼロよ!(財布の中身的な意味で -- ずっと前にDLしたムンラビに手を出そうか迷っているジョーカー (2008-09-02 13 39 01) 祐「俺のターン。俺は手札からATMを使用、ライフポイントを500回復させる!! (無駄な足掻き) -- ムンラビやると、どんなに死にまくっても、晴香は実は強かったんだって実感できる。ALC (2008-09-04 01 57 19) マヤアすげぇ(笑) -- 名無しさん (2008-09-06 01 20 15) 祐一募金の協力しときますねつ⑩ -- ミヤコン (2008-09-06 08 35 30) 募金総額=15円。マ「わ~い。祐一ゃん、5円チョコ3つ買って~」 祐「え、僕の取り分は!?」 マ「ん~、チョコっとやる」 祐「誰が上手いこと言えと…?」 -- 皆様、有難う御座います、なALC (2008-09-07 00 51 07) キカイオーにはまった人がここにいるぞ! -- テンチョーの中身 (2008-09-29 23 41 27) イター!? 意外と多いぞキカイオー好き!? -- リアル知人は「遊戯王?」とか言う奴ばかりだったので結構嬉しい、ALC (2008-10-05 21 07 57) つーか昔ドリキャス版持ってたぜ!持ちロボはなぜかラスボスがお母さん属性のあの子だぜやっふー! -- テンチョーの中身 (2008-10-10 22 42 29) 「お母さんのお墓参り(結果的に)」は、いまだにインパクトに残る土下座 -- 土下座 (2008-10-10 23 59 56) 今日、ドリキャス(現役)版やってたら お父さんルートに進んでしまった。 分岐条件ミスった。 -- ALC (2008-10-19 22 26 38) それはそれとして、ばかねこ回答者の皆様。 推理内容を公開しちゃっても宜しいでしょうかね? いえね、とあるお人が見たいと言うモノで……。 -- ALC (2008-10-19 22 28 22) あまりといえばあまりにも極端な攻撃方法に思わず拭いたw100くらいならまだしも千ですかwww -- ミヤコン (2008-10-20 08 27 36) まずは切腹してお詫びを……。 ミヤコン様。申し訳ない、コメントに気付きませんでした。……何たる不覚。 ……核なるうえは、ノワールさんのコラボSSでも書くしか……。 (恥の上塗りになったら如何しよう?) -- ALC (2008-11-16 23 06 35) -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2529.html
樫坂家一家の設定 序幕終了時点 樫坂 脩 / 男 17歳 本編主人公。 時折突拍子も無い事を言ったり独り言を呟きまくったかと思えば黙り込んだりもする男子学生。 両親は共働きで母は大手航空会社のスチュワーデス、父は神姫関係の大手会社の社員でよく出張する。 たまに帰ってきて二人揃ったらあらゆる意味で目も当てられないバカップルらしい。 武装神姫は前から興味があったがなかなか踏ん切りがつかないでいた。 が、母からユイナが、遅れて父からシェラが届いたことで本格的に踏み出し始めることとなった。 ちなみに両親が稼いでそうなのになぜか自宅は普通、というかむしろ多少ボロい。そして脩は所持金が少なかったりする。のに良くギャンブルまがいの事をする悪癖がある。 神姫の名前は結構しょうもない理由で付けてしまう。あと実はCSCとかは深く考えないで装着していた。 更に、日ごろからやれば出来るのに……と言われている。実際頭はかなり良いが疲れるのと頭痛が起きる時があるのでやる気が無いと使わないし居眠り癖があるので教師を困らせてる。 考え方が若干ズレてる。どうズレてるかと言うと、当り前のようで当り前じゃない、矛盾してるようで矛盾して無かったりする等。 ユイナ、シェラ、くー、フィー、キュリア、リムの6体のマスター。 武装はフルセットについてくるアーマーパーツは変えずに武装だけ変えていて、リアパーツ等はまだ弄れないとの事。 ユイナ アーク/ストラダーレ仕様 一人称は「私」 脩の最初の神姫でありHST型と呼ばれる神姫で、トライクになったり、武装がバイクになったりする。 脩の母が仕事先で見つけ即購入、脩の誕生日に贈った神姫で「ストラダーレ(公道仕様)」とよばれるリペイントバージョン。 性格は基本的なアークより大人しい。そしてお姉さんっぽい。実際他の5人をまとめてるのはユイナ。 面倒見が良く、誰とでも仲がいいので周りの神姫からは慕われていく。 戦闘スタイルは「高速万能型」。つまるところオールラウンド。トライク状態も多用する。 主な装備 アーク基本装備。だがナイフは抜けた。 代わりに手榴弾、ソウブレード「断慈斬」が初期装備に追加されている。 予備(サイド)にはM49ショットガン、偃月刀の二つ。 シェラ アルトレーネ/蒼空リペイント 一人称は「私」 脩の二人目の神姫であり、ユイナの三日後に来た。 脩の父が出張先で知り合った人物から譲り受けた神姫で、オリジナルのカラーリングが施されている。 簡単にまとめると髪は金、装甲と素体はノーマルペイントの白い部分が空色、青い部分が白になってる。が空色になってて 性格はアルトレーネの基本に違わず天然気質でどことなくふわふわした雰囲気でドジ。しかし一度切り替わると普段からはあまり想像できないくらい凛々しくなる。 戦闘スタイルは「機動近接型」。ほとんどフリューゲルモードでの戦闘だが時折、軽装状態になる。 主な装備 アルトレーネ基本装備。 それにアルヴォPDW9、ビームブーメランを追加した物が初期装備。 予備にはバルムンク、アルファ・ピストル×2。 くー(???) マリーセレス/青紫リペイント 一人称は「くー」 脩の三人目の神姫で野良神姫だったところ、不法侵入した脩の家にいついた。 詳しい経歴は不明な上に行動、言動のどちらをとっても掴みどころのない神姫だがそれでも自分を迎えてくれた脩とユイナ達には感謝している。 性格はマイペース、というか自由奔放。だが、その裏でかなりの策士でもあり、本当は寂しがり屋でもあるという表と裏の2面性を持った神姫。 脩に使いたい武装を要求したり、自分の自由に戦ったりもするがその強さは本物であり、脩に初戦を見せる事で自分の戦い方を伝えた。 ペイントはノーマルのカラーリングの黒を暗い青紫に、青を更に濃く(濃紺色)してライン系統は全て白という配色になってる。髪のみ変わって無い。 戦闘スタイルは「多段奇襲型」。常に相手の意表を突いていくうえ、単純計算では8段構えの攻撃をする。 主な装備 マリーセレス基本装備。 だがイング・ベイカー以外の基本武器は触手状のフロントスカートに装着。 また、両サイドスカートにはダブルアームフォールディングナイフをそれぞれ装備、内側に格納している。 そしてイング・ベイカーは2丁。 予備はスクラマサスク1本のみ。 フィー(フィラメル) 紗羅檀/銀眼リペイント 一人称は「わたくし」 脩の四人目の神姫であり、倉根玩具店のオーナーでデザイナーでもある倉根 敏章によりリペイントされている。 具体的にいえばノーマルペイントの黒はそのまま、金色が白色、髪は薄紫から真紅のグラデーション、そして眼が銀色。 実はとてつもなくスペシャルモデルであり通常より遥かに高額だが、店主の倉根 敏章が倉根玩具店のクジの特賞(約100000分1、毎日抜けた分だけ補充される)として一応設定していた。 普通ならまず当たらないのだが、まさかの敏章自身のミスによって脩が引き当てた事で脩の手元に来た。 性格は大人びたお嬢様といった感じであり、普段の振る舞いもお嬢様のそれといった感じであるが時折フランクな場面も見せる。ユイナに次ぐまとめ役でもあり隠れた努力家。 また、日常生活でも左足をスレイプニティに変えている。たまに左腕もグラニヴァリウスになってる。 戦闘スタイルは「特殊近接型」。近接戦でも立ち回りながら演奏をする。余談だが実は6体の中で一番基本から離れている。 主な装備 紗羅檀基本装備………というかまさかのフル装備。 脩でも気づかない内にスレイプニティとグラニヴァリウスを同時に着けてる。しかもイメージに反して蹴る時もある。 リジル、ノーデゥングはスレイプニティの装飾をはずしてそこに着けてたりする。そしてスネークソードを初期装備 予備は無し。 キュリア ムルメルティア/深緑リペイント 一人称は「自分」。ただし心の中では「私」 脩の5人目の神姫で、ジャンクショップから萩河の知人、そして萩河と奥道が直して脩へと渡ってきた。 ペイントは素体以外は、ほぼ深緑色と一部赤。髪は銀髪。 性格は基本的に無口で、言葉を出しても事務的に聞こえるが、実は心の中ではかなりおどおどしていて、悪い方向に物事を考えてしまうが心優しい。 起動当初は、リセット前の影響からかほとんど喋らなかったが、脩達の何気ない気づかいと後押しに押されてシェラに射撃の手ほどきをしたことがきっかけになり打ち解けるようになった。 実はかなりの動物好きであり、近所の猫や犬、鳥を一日中眺めていることもある。 戦闘スタイルは「重量砲戦型」。つまるとこ巨砲主義。反動の強い武器を思いっきりばらまく。一番脩が装備構成をなやんでいる神姫でもある。 主な装備 ムルメルティア基本装備。インターメラルはキャノン砲。 副腕アリ。だが暫定的な物で脚にするか悩み中。 初期装備はさらにM49ショットガン、アイゼンイーゲル、シェルブレイクが追加。 予備は無し。 リム エウクランテ/黄リペイント 一人称は「あたし」 脩の六人目の神姫であり、ここまできてやっと、初めて自分で買った神姫だったりする。が、酔ってたので考えものでもある。 先に五人も先輩神姫が居るので最初は驚いてた感じだったが、その後はあっさりと親しくなる。 性格は普通。あえて言えば真面目だが冗談も言える。よく貧乏くじを引いている。悩みの種は無個性。他のメンツの個性が強いせいもあるが一芸欲しいとは考えてる。 ペイントは、ノーマルペイントの白を薄い黄色、青を薄い赤、黄色を黒に変えた感じ。髪は金髪ツインテール。 メンバー内ではシェラに次ぐ空戦要員。近接では流石に劣るがその分バランスが良い。 戦闘スタイルは「空中射撃型」。中距離からの射撃メインだが、脩は他の事も考えているらしい。 主な装備 エウクランテ基本装備。実はまだ模索中だったりする。 一応現在はビーハイヴ、ジャマダハルを追加した初期装備。 予備は無し。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/460.html
戻る TOPへ 次へ 一回戦目はシルヴィアの粘り勝ちだった。 一撃離脱を繰り返すシルヴィアと、数少ない反撃のチャンスを物にする敵マオチャオ。時間経過と共に両者に蓄積されるダメージ。三度目の格闘戦にもつれ込んだ際に功を焦った猫型が迂闊なステップを踏み、そこをマグネティックランチャーで迎撃。接近の間合いで放たれた高速貫通弾は猫型の装甲を貫いた。 敵は一回戦目から持久戦に陥った事により焦れていたのだろう。だがおれ達のテンションは最高にクールだった。御影キョウジと《ミラー・オブ・オーデアル》マスターミラーを倒す。この目標を掲げるシルヴィアは焦りが生じやすい持久戦の中でも勝利を見逃す事は無かった。 二回戦目までまだ間がある。控え室に戻り、備え付けの自販機でホットココアを購入。シルヴィアには神姫サイズのアップルティーを買ってやる。コーヒーブレイク。二人とも珈琲飲んでないけど。 神姫サイズの紙コップにアップルティーが注がれていく様を見て、おれはまた昨日の出来事を思い返していた。 ツガル戦術論 鏡の試練 後編5 エルゴのバトルフロア。バトル観戦の途中でブレイクタイム。休憩スペースに備え付けられた自販機を認める。マスターミラーに飲食出来るのか確認し、ミラーの好みに合わせてドリンクを選ぶつもりだったが、その必要は無いと彼女に言われた。 飲食が出来る神姫と一緒に食事する際は、マスターの分量を神姫に分けてあげるのが普通だ。武装神姫と言うバトルサービスが市民権を得ているとは言え、神姫と食事をするユーザーが一般的に多いわけではない。神姫用フードサービスなどは見たことは無いし、もし現実的な状況になったとしてもコスト的な観点から普及はまだまだ難しいだろう。かと言ってマスターが神姫のために人間一人前を注文しては無駄な出費が多い。そんな重箱の隅に転がる要望にいち早く応えたのが通称「ちっちゃい物研」。彼らは神姫サイズまで小型化された自動販売機の製作に着手したのだ。自動販売機の概念発祥は紀元前の古代エジプトまでさかのぼり、国内に於けるメカトロニクスの元祖は二十世紀初頭に完成されていたが、新世紀から四半世紀を余裕で過ぎた今日のテクノロジーを以ってしても紙コップ自販機の、あの『飲み物が流れた後に紙コップが降ってくる』悲劇は健在だった。 神姫のドリンクを缶で提供するにはあまりに大掛かりな投資になる。紙コップ式の選択は必然と言えた。だが前述にある悲劇の存在が技術者達の行く手を阻む。神姫達にあの悲劇を味あわせてなるものか! かくして男達は立ち上がる。だが製作は難航した。突貫作業でこさえた試作一号はとても満足の行く精度は出なかった。そして失敗の連続。いたずらに過ぎて行く時間。無力感と絶望感が男達に圧し掛かる。 男達の神姫は彼らを思いやった。 「マスター、もういいんです。私はマスターの好きな飲み物は全部、大好きですよ」 「砂糖やミルクが入ってないコーヒーでも、私、飲めますから!」 「頼れる神姫にはブラックが似合うんです! …あれ? おかしい… な」 「やっぱり… まだ… 飲めませんでした。私、まだまだ、頼れる神姫じゃないみたい… です」 男達は再び立ち上がった。何度も試行錯誤を繰り返し幾度も挫折を味わい数々の困難と逆境が彼らを襲う。つらく苦しい長期戦となった。だが男達は一人として諦めたりはしなかった。何故なら男達の目は常に未来を見据えていたからだ! そしてついに神姫サイズの紙コップ自動販売機の先行量産型が完成した。 数少ない先行量産型は大規模神姫センターに先行モニターとして設置され、そのうちの一台は製作スタッフの熱意あるプッシュにより『ホビーショップエルゴ』に設置される事と相成った。 かくして、エルゴのバトルフロアには神姫サイズの自動販売機が設置され、休憩スペースにおいてマスターと神姫が個々の好みのドリンクを片手に、今まで以上に賑わう事となったのである。 だがこのマシン設置の裏側に上記の壮絶なドラマが存在する事を、多くの人は知らない。 「私にはグレープジュースを頼む」 氷は抜きで。 神姫サイズの紙コップに黄金色のドリンクが注がれてゆく。途方も無い技術の塊とは思えないほどの手軽さで神姫サイズのグレープフルーツジュースは完成した。こんな極小サイズで精巧に動くこの筐体を初めて目の当たりにし、製作秘話を知らないおれでも製作者に最大限の敬意を持った。 大会の二回戦目は大いにてこずった。 敵の武装構成は大幅に手を加えられており、コンセプトを一言で表せば突撃兎型。武装はバズーカ、フックショット、マイクロミサイルランチャーをひとまとめにした統合武装火器を一丁装備。全身を覆う重装甲に背面高機動ユニットを装着した出で立ちのバッフェバニーによる執拗な攻撃がシルヴィアを襲った。 一個の兵器を評価する際、一般的に重視される能力は『攻撃力・防御力・機動力』の三点である。この評価はバトルステージに立つ神姫にも当てはまる。これらの要素はお互いにバランスを取り合うように存在しているのだ。『攻撃力』と『防御力』を上げれば重量がかさみ『機動力』が落ちる。『機動力』を上げるためには『攻撃力』と『防御力』を削る必要がある。『機動力』をそのままに『攻撃力』を上げるためには『防御力』を削ぎ落とさなくてはならない。云々。あっちを立てればこっちが立たずのジレンマの連鎖、トリレンマが延々と付き纏うのだ。明確なコンセプトが見えるマスターは、この限られたリソースを神姫の戦術に合わせ、三点に的確に配分しているのである。 外部電源装置、パワーユニット装着などの手段を講じればリソースの底上げが可能である。だが、攻撃力の増強はある上限を超えれば過度の武装装着と言う手法を取らざるを得なく、複数火器扱いの煩雑さが足枷となり得る。防御力の増強は装甲過剰装備による可動クリアランスの低下、及び運動性の低下を招き、結果的に攻撃力と防御力の低下につながる。機動力の増強は、パワフルな機動ユニットの制御技術と高度な射撃及び格闘能力が無ければかなわない。 明確なコンセプトを打ち立て、余りあるリソースを適切に配分しなくては強化足りえないのだ。もちろん創意工夫と取捨選択により上記の欠点を抑えつつ強化する事は可能であるが、即ちマスターの武装選択センスと神姫の高い能力無しには無し得ないパワーアップなのである。手軽に取れる手段では無い。 だが今回の相手、敵兎型の装備する武装センスと、それらを操る神姫の手腕は洗練され尽くしている。重装甲により高い防御力を実現。パワーユニット兼機動ユニットを背負う事で機動力を確保、さらに複数火器を一つにまとめる事で総重量を抑え機動力低下の懸念を解決している。総合攻撃力こそ控えめなものの、右腕に装備された統合武装バズーカ『カリーナ=アン』のコンセプトは明確である。即ち、「マイクロミサイルで撹乱しフックショットで押さえつけバズーカで粉砕する」。脅威の度合いは、限りなく高い。 こんな敵に小細工は通用しない。真っ向勝負だ。 シルヴィア、飛翔。敵の唯一の弱点である低い運動性に付け入るために、近距離射撃戦を敢行する。 ホットココアを片手に、スクリーン上で繰り広げられるバトルの戦術分析を続行していると、こちらの度肝を抜く神姫が出現した。コートを羽織った犬型。カバンやコートの中に武装を仕込む暗器使いとして分析を続けていたのだが。彼女が劣勢に追い詰められると何と発光、そしていかにも戦闘には不向きな、こう、「ヒラヒラでフリフリ」とした衣装へと変身を遂げたのだ。いや落ち着け、あれは武装換装の一形態だ、と分析を続行したが、珍妙な名乗りを可愛らしい声で述べられると、おれは口に含んだホットココアを吹き出すしか無かった。なんだあれは。理解不能。だが顔を真っ赤に染めながら変身後の前口上を述べるハウリンタイプを見れば、マスターの明確な意図が心に響く。 おれは心の中で静かに親指を立てた。 グッジョブ。 心の栄養を補給し、引き続き戦術分析を続ける。 続く 戻る TOPへ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2822.html
SHINKI/NEAR TO YOU Phase02-7 大会が終わり、アミューズメントフロアでは後片付けにスタッフ神姫たちが飛び交う。 ゲーム筐体には<メンテナンス中。ご迷惑おかけします>の表示。すでに夕方、会場を訪れていた観客たちも次々に帰っていく。 シュンは一足先に会場を去り、一階の喫茶店で休んでいた。 本当は優勝者としてインタビューなんかもあったのだが、面倒なのでそういうのは全部伊吹たちに任せてきた。 あのコンビはマスター・神姫揃ってノリがいいから別に問題ないだろう。今度配信される神姫センターの公式ウェブマガジン「武装神姫ジャーナルMAYANO」では、きっと悪ノリした二人がデカデカと載ることになるに違いない。 ウェイトレス神姫が運んできた紅茶を飲みながら、シュンは向かいの席に目を向ける。 そちらではワンピースの上に白衣をまとった妹の由宇が、机に広げたタブレット端末を熱心に操作している。端末の先にはクレイドルが繋がれ、そこに腰掛けているのは当然ゼリスだ。 由宇は嬉々として操作を終えると、ツインテールを揺らしながら顔を上げる。 「うん、ゼリスも武装もどっちも問題なし! お疲れ様♪」 ゼリスは「ユウ、感謝するのは私の方です」と頭を下げる。ゼリスの言うように、オーラシオン武装と由宇の調整がなかったら、優勝するのは難しかっただろう。その意味で彼女は今日の最大の功労者と言ってよかった。 「ありがとな、ユウ。優勝できたのはお前のお陰だよ。奢ってやるから好きなもん頼んでいいぞ?」 「ホント!? じゃあ、ムルメルティアの無限軌道ロールケーキセットね! やったー、これ前から一度食べてみたかったんだぁ♪」 ころころ笑みながら、由宇は早速近くのウェイトレス神姫を呼び止めている。……全く、こういうところは年相応に可愛らしいんだけどなあ。 「……ふふん、そういうことなら私も何か奢ってもらおうかしら?」 「わわっ、伊吹!? いつの間にいたんだ?」 「やっとインタビューが終わってね、ついさっきよ。もう~夏大会に向けての抱負とか、シュッちゃんとの関係とかいろいろ聞かれてねー。長くなりそうだから途中で抜け出してきちゃった。ワカナも疲れて眠っちゃったしね」 上着のポケットでスヤスヤ寝息を立てるワカナを、伊吹は愛おしそうに撫でている。いや、途中で抜け出したって……それって終わったって言わないだろう。 呆れるシュンに対し、伊吹は「まあ、人気者の特権みたいなもんよ」と気にせずケラケラと笑っている。 「でも、今日はシュッちゃんに奢ってもらわなくてもいいわよ」 えっ、とシュンが顔を上げる。そこでは伊吹と由宇、ふたりがやさしく微笑んでいた。 「簡単な話です。今日一番の功労者はシュン、あなただからですよ」 ゼリスまで当然といった顔でシュンを見上げる。 いや、でもどちらかと言うと僕は足を引っ張ってばかりだったはず。そもそも試合で一番活躍していたのは伊吹とワカナだった訳で…… 「な~に言ってるのよ。決勝戦を勝てたのは、シュっちゃんの作戦があったからでしょう?」 「……偶然だよ。たまたまうまくいっただけで、みんなのフォローがなかったら成功しなかったって」 伊吹にそう言われても、シュンとしては今回の大会は反省することばかりだったのだ。 作戦にしたってシュンはアルミフォイルを〝チャフ〟にするアイデアを思いついただけで、成功したのは伊吹とワカナによる陽動や、ゼリスの判断が的確だったからだ。シュン一人で成し遂げたものではない。 シュンがウジウジと悩んでいると、不意にゼリスが彼の頭に飛び乗る。かと思うと―― 「――っ!? いってー!」 額に強烈なデコピンが炸裂した。 「いつまで悩んでいるのですか? もっと堂々としていればいいのです」 痛みを堪えつつ目を開けると、エメラルドの瞳と目が合った。 「……何もかもひとりでやろうとする必要はないでしょう? 仲間同士で助け合い、長所を合わせ短所を補い合った方が効率的というものです」 ゼリスらしい単刀直入な理攻めだった。まあ、確かにその通り。 「それから――」とゼリスは続ける。 「それは神姫とマスターも同じです。足りない部分があったらお互いに補っていけばいいのですよ。少なくとも――」 ゼリスの小さなささやき――それが、突然の闖入者に遮られた。 「ちゃーっす。兄ちゃんたち、ここにおったんやな~!」 「姐御も一緒か。こりゃちょうどええな!」 「あなたたち、どーしたのよ?」 唐突に現れた金町兄弟は、口の端をニッとそっくり同じ角度で持ち上げる。 「帰る前にアイサツしとこう思うてたんや。……今日はありがとうな、負けたけど久しぶりに楽しい試合やったで」 晴れ晴れとした笑顔の兄、笑太。 「前の街は退屈やったけど、これからは姐御を目標に頑張ることにしたんや。よろしくな~」 同じく笑みを浮かべる弟、福太。ふたりとも負けた悔しさを感じさせない、さっぱりした態度だった。 そんな双子の屈託のない笑顔に、伊吹も自然と顔がほころぶ。 「ふふん、挑戦ならいつでも歓迎するわ。また楽しいバトルをしましょうね?」 もちろん、と双子は嬉しそうに返事をする。 「せやけど、お兄さんの作戦には負けたわ。あんな方法でオレらのコンビネーションを破られるとはなあ、仰天したで!」 「シュン兄ちゃんも、今度はシングルバトルで勝負しようや!」 ふたりのキラキラした眼差しに、なんだかシュンまで嬉しくなってきた。 「ああ! また一緒に試合しような」 シュンの返事に満足そうに頷くと「じゃあ、また会いまひょ~」と言いながら金町兄弟は帰って行った。 去り際に「次は負けへんからな」と啖呵をきるアテナとそれを抑えるリアナを見送りながら、ゼリスもどこか嬉しそうだ。 「さて……あたしたちもそろそろ帰りましょうか?」 「えぇ? このケーキ食べ終わるまで待ってよー」 見送りが終わって伊吹がそう切り出すと、一緒にニコニコしていた由宇がとたんに慌て出す。 「……ユウちゃん、半分手伝ってあげよっか?」とチェシャ猫のように笑う伊吹。 「だめー」と皿を持つユウの手を、いつの間にかテーブルに戻ったゼリスがつつく。「私が手伝ってもいいですよ?」 ギャーギャーと姦しく騒ぐ三人を眺めながら、シュンは思う。 さっきゼリスが呟いた言葉。シュンにはしっかりと届いていた。 (少なくとも――私はシュンのことを必要だと思っていますよ) なんのことはない。シュンの悩みなど、ゼリスはとっくに気づいていた訳だ。 その上でスタンドプレーにも走らずに、彼女はバトル中ずっとシュンの指示に従って動いていた。 ――シュンのことを信頼してくれていたから。必要だと思っていてくれるから。 ゼリスは、それをずっと行動で示していた。 ならばこれからは、シュンも行動で示していけばいい。 (自分に何ができるか――じゃない。ゼリスのためにできることをやるんだ!) ゼリスがシュンのことを必要だと思ってくれるなら、シュンはゼリスのために今の自分ができることを見つけていこう。 神姫がマスターを信じて戦い、マスターは神姫のために最大限のバックアップを行う。 もとより神姫バトルとは、そういうものなのだから――。 かくして少年と彼の神姫は、新たな一歩を踏み出し始める。 今は小さな波紋に過ぎないそれが、この摩耶野市に集う神姫とマスターを巻き込んで、より大きな波紋となって疾走してことになることを、彼らはまだ知らない。 ……To be continued Next Phase. ▲BACK///NEXT▼ 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2567.html
MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 11」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 □ 重邀撃戦闘機型MMS「リカルダ」 SSSランク 二つ名「ミョルニル」 オーナー名「春日 凪」♀ 20歳 職業 神姫マスター 真っ赤に燃え滾るヒートナギナタを振り回し,戦国時代の武将のように名乗りをあげるリカルダに対峙する神姫たちは、ぽかんを口を開けて呆然と立ち尽くす。 オーナー1「な、なんだァ!?あいつ!」 砲台型C「あれがSSS級の化け物神姫、リカルダか」 悪魔型「び、びびるな!!!敵は一騎だァ!!!」 一瞬、神姫たちに動揺が走ったが、すぐさま体制を建て直し、リカルダを取り囲むようにじりじりと移動する。 春日はバトルロンドの筐体に備え付けられているタッチパネルを操作し、状況を把握する。 春日「残り、88機!敵は3つの集団に分かれている」 春日はマーカーで3つのくくりを作る。 春日「まずは集団A、陸戦タイプの神姫を中心とした大集団、数は50、どうせこちらの速度にまともについていけない、適当につぶしておけ」 リカルダ「イエス」 春日「次に集団B!!空戦タイプの神姫を中心だな、数は1ダース(12機)、機種はアーンヴァル、エウクランテ、アスカが多いな・・・まずはこいつらから血祭りにあげろ、皆殺しだ!」 リカルダ「OK」 春日「最後に集団C・・・砲戦タイプの神姫ばかりだな!数は20、機種は戦艦型4隻、戦車型6両、砲台型10台!鈍亀ばかりだ、うまく誘導して同士撃ちにさせろ」 リカルダ「了解」 春日はバンっと筐体を叩く。 春日「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)!!!見敵必殺だ!!立ちはだかるすべての障害を排除しろ!」 リカルダ「Sir,Yes sir MyMasterrrrrrrr」 ヒュイイイイイイイイイイイイイイイ リカルダのリアパーツに装備されている巨大な素粒子エンジンが緑色に輝く粒子を撒き散らし唸り声を上げる。 巡洋戦艦型A「奴を倒せば兜首だ!賞金を手に入れて富と名声を手に入れろ!」 装甲戦艦型A「支援射撃を開始する!全神姫突撃突撃ィ!!」 数隻の戦艦型神姫が主砲をリカルダに向けて発砲するのを皮切りに再び神姫たちが吼えるように声を上げて、武装を手に掲げてドッと津波のように襲いかかる。 神姫「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」 リカルダはまったく臆することなく、巨大な素粒子エンジンを全開に吹かして真正面から突撃を仕掛ける。 リカルダ「あは、あはっはは!!この程度の数の神姫でこの俺を倒せるとでも?笑わせるッ!!!」 轟とエンジンを轟かせてリカルダは燃え盛るナギナタを引っ掴んで迎え撃つ。 砂漠を砂埃を立ち上げて、真っ先に攻撃を仕掛けてきたのは、ハイスピードトライク型 アーク、ハイマニューバトライク型 イーダ、モトレーサー型 エストリル、クルーザー型 ジルリバーズのバイク使いの4神姫だった。 バイク使いの4神姫はリカルダの姿を認めると、ばっと散開し一斉に手持ちのマシンガンやキャノン砲、ハンドガンで射撃を開始する。 リカルダ「遅い遅すぎるぜ、それで速く動いているつもりか?」 リカルダは地面スレスレをホバリングするように砂山や岩を盾に攻撃を回避し、ズンと地面を強く踏みしめると、同時に地面に巨大な亀裂と穴が穿つ。 パンッと空気が爆ぜる音がしたと同時に、ハイスピードトライク型 アークの紅の武装が異常な形にくにゃっと歪みバラバラに分解されて吹き飛んだ。 □ ハイスピードトライク型 撃破 真横を走っていたクルーザー型のジルリバーズの目が見開かれる。 ジルリバーズ「なっ・・・」 ぐしゃぐしゃに潰れたトライク型の後から破壊音が衝撃波となって届く。 ドギャアアアアアアアアアン!! チカチカと何かが光ったと思った瞬間、モトレーサー型 エストリルの薄いピンク色の体が黄色い閃光に飲み込まれて爆散する。 □ モトレーサー型 撃破 ジルリバーズ「あ、あああ・・・」 彼女の眼前で瞬く間に僚機が沈む。 あまりにも速い、度外れた速さ、圧倒的な凄まじい破壊の力に彼女は驚愕し見届けることしか出来ない。前方でハイマニューバトライク型イーダが変形を解除し、大剣を構えて対抗しようと、リカルダに攻撃を仕掛けようとするが・・・ 次の瞬間、ジルリバーズの横を薄緑色の塊が軽々と宙を舞いすぐ脇を通りぬけていく。 風が唸る。 ゴキン 鈍い金属音が聞こえる。その音の正体を最初は理解できなかったが、崩れ落ちるバラバラになった自分の体がジルリバーズの視界に移ると意味を理解した。 ジルリバーズ「は・・・はや・・・速すぎる」 □ クルーザー型 ジルリバーズ 撃破 ズドンズドンズドン!! 戦艦型神姫の砲弾がリカルダの周囲に着弾するが、リカルダはまったく意に介さず無視する。 リカルダ「おいおい、なんだ?その動きは舐めているのか?あああん?的撃ちじゃねーんだぞッォ!!!!!」 リカルダは顔を歪ませて新たな敵に向かって突進する。 音速を超え、超高速の剣戟に、対峙する神姫たちはまったく捕捉しきれなかった。 悪魔型「うおおおおおおおおおお!!」 巨大な刀を携えた悪魔型が雄叫びを上げて強化アームを振りかざし突撃するが、リカルダは悪魔型が刀を振るう前に胸部を突き殺す。 □ 悪魔型 ストラーフMk-2 撃破 間髪いれずに今度は巨大なハンマーを携えた白い悪魔型とソードを構えた黒い悪魔型が躍り出るが、リカルダは副腕のレールキャノンをくるんと廻して、胸部を正確に撃ちぬく。 □ 悪魔型 ストラーフ・ビス 撃破 □ 悪魔型 ストラーフ 撃破 脇を小柄な2体の神姫が槍と剣を携えて飛び出してきたが、リカルダは2体まとめて燃え盛る紅蓮の炎を纏ったヒートナギナタで文字通り薙ぎ払った。 □ 夢魔型 ヴァローナ 撃破 □ 剣士型 オールベルン 撃破 樹脂の溶ける焦げ臭い不快な匂いを撒き散らして四散する2体の神姫。 リカルダの強烈な攻撃の様子はさながら嵐のようであった、音よりも速いリカルダの攻撃は空気を引き裂き、爆ぜ、対峙する全てのものを打ち砕く。 次々に撃破のテロップが流れる。 まるで音楽を奏でるかのようにリカルダは縦横無尽に戦場を駆け回り、刈り取るように神姫を撃破していく。 □ 犬型 ハウリン 撃破 □ 猫型 マオチャオ 撃破 □ リス型 ポモック 撃破 □ フェレット型 パーティオ 撃破 □ ウサギ型 ヴァッフェバニー 撃破 □ 騎士型 サイフォス 撃破 □ 侍型 紅緒 撃破 □ 花型 ジルダリア 撃破 □ 種型 ジュビジー 撃破 □ サソリ型 グラフィオス 撃破 春日「30、31・・・」 春日はにやにやしながら腕を組んで数を数える。 怯えた白鳥型が大剣を盾に悲鳴をあげて後ずさるが、リカルダは大剣をガードの上から叩き割った。 ズン・・・ 真っ二つに引き裂かれた白鳥型の表情には驚愕の念が浮かんでいた。 彼女は決して弱い部類の神姫ではなかった。数多の戦場を先陣切って誉高く駆け、敵を討ち取ってきた武装神姫である。 だが、違う。 こいつは違う。 一刀両断されて始めて違いに気がついた。 こいつは普通じゃない。 白鳥型「ば・・・化け物め・・・」 □ 白鳥型 キュクノス 撃破 春日「32!!総数の3分の1を殲滅した、残り68!さっさと片付けるぞ」 春日は筐体の画面を操作して状況を把握する。 リカルダ「だめだ、弱すぎる・・・お話にならない」 参加していた神姫のオーナーたちはたった数分間で100体いた神姫の3分の1が潰滅した事実にただ言葉も無く息を呑む。 いま眼前で繰り広げられた戦い、リカルダの桁ハズレの強さ。 次々となすすべもなく撃破されていった仲間たちを見て陸戦主体の残った神姫たちは完全に戦意を喪失して、武装を放り出して逃げ始めた。 カブト型「だ、だめだァ!!こんなの勝ってこないよ!」 クワガタ型「ひ、ひィいいい」 ヤマネコ型「やってられるかよ!!!」 がしゃがしゃと手持ちの武器を捨てて逃げようとした瞬間、後方からチカチカと青白い光が瞬く。 建機型「!?」 ドッガアズガズッガアアン!! 装甲戦艦型A「撃て撃て!!撃ちまくれェ!!」 巡洋戦艦型A「逃げる奴は敗北主義者だ!!!敵もろとも攻撃しろ!!!」 重装甲戦艦型A「奴を倒せば1億円なんだぞ!!断じて引くな!!後退は認めん!!」 数隻の戦艦型神姫が味方もろとも無差別に砲撃を始め、瞬く間にフィールド内は阿鼻叫喚の地獄絵図に変わった。 ドンドンッドオドドン!!ズンズウウン・・・・ カブト型「ぎゃあああああああ!!」 虎型「ウワァ!!」 丑型「いやああああああああああ!!撃たないで撃たないでェ!!!!!」 猛烈な艦砲射撃がリカルダと周囲にいる神姫たちを巻き込んで行なわれる。 戦艦型の取り巻きの戦車型、砲台型も味方を撃つことに戸惑っていたが、手段を選んでいる場合ではないと悟ったのか、一緒になって見方もろとも攻撃を始めた。 □ 建機型 グラップラップ 撃破 □ 虎型 ティグリース 撃破 □ 丑型 ウィトゥルース 撃破 □ ヘルハウンド型 ガブリーヌ 撃破 □ 九尾の狐型 蓮華 撃破 次々とフレンドリーファイヤーの表示が出ながら撃破のテロップが踊る。 瞬時に周りは地獄と化した。その光景は凄惨そのものだった。目の前で多くの神姫たちが生きたまま焼かれ、重症を負い、そして粉々に砕かれて宙を舞った。 ズンズンズン・・・・ ものすごい爆煙と砂埃で砲撃地点は黒茶色の巨大なキノコ雲が立ち上り、ボンボンと神姫が爆発する音と赤い炎が巻き起こる。 上空を数十機の航空MMSが心痛な面持ちで眺めていた。 天使型「下は地獄ですね」 セイレーン型「うわあァ・・・」 ワシ型「イカレ野郎もろとも吹っ飛ばしてしまえ!!」 ワシ型が手を掲げてファックサインをする。 ドッギュウウウム!! 戦闘機型「おぐ・・」 戦闘機型の胸部を黄色い閃光が貫き、爆発する。 □ 戦闘機型 アスカ 撃破 爆煙と砂埃の中から勢いよくリカルダが飛び出し、真っ赤に燃え盛るヒートナギナタでワシ型MMSを一刀両断で切り捨てる。 □ ワシ型 ラプティアス 撃破 リカルダ「コイツァ最高だぜ、ふ・・・恥も外聞もなく味方もろとも攻撃してくるとはなァ・・・」 リカルダは笑いながら次々と航空MMSをハエのように叩き落としていく。 □ コウモリ型 ウェスペリオー 撃破 □ 戦乙女型 アルトレーネ 撃破 天使型「このおおおおおおおおおおおお!!」 天使型の一機が、上空からライトセイバーを構えて突撃してくるが、 リカルダは最小限の動きで回避し後ろを取る。 リカルダ「はずしやがったな!まだまだガキの間合いなんだよ!」 天使型「そ、そんな!!うわああああ!!」 ズッドン!! □ 天使型 アーンヴァル 撃破 天使型の頭部を跳ね飛ばした次の瞬間、リカルダを含む周囲の航空MMSたちにむけて葉激しい強力なレーザー砲の一斉射撃が加えられる。 ビシュビシュウウビッシュウウウウン リカルダ「おわっ!!」 あわててリカルダが回避する。 ズンズンズン!! □ 天使型 アーンヴァル 撃破 □ 天使型 アーンヴァル・トランシェ 撃破 □ 天使型 アーンヴァルMk-2 撃破 □ 戦闘機型 アスカ 撃破 リカルダの回りを飛んでいた航空MMSを強力なレーザーが貫き、空中に炎 出来た光球を作る。 重装甲戦艦型「ヘタクソォ!!貴様らどこを狙っている!!」 巡洋戦艦型A「ウルセェ!てめえが撃てっていうから撃ったんだろがァ!!!」 装甲戦艦型A「畜生畜生!!」 装甲戦艦型B「ひゃっはああーーー!!!もうだめだァ!!」 巡洋戦艦型B「なにをしている攻撃の手を休めるな!!!」 またしても後方にいる戦艦型神姫の一群が味方もろとも巻き込むのも承知の上で砲撃を加えてきたのである。 1度ならず2度までも、味方を巻き込む非道な攻撃を行い続ける神姫たちに観客たちはブーイングを鳴らす。 観客1「お前らさっきからナニやってんだよ」 観客2「このクズヤロウ!!さっさとしとめろ!」 観客3「誤爆誤射ばっかりやんてんじゃねーんだぞ!!このダボォ!!」 観客4「こいつらさっきから味方撃ちしかしてねえーーーーー」 観客5「なにがしてーんだよ!!このクソヤロウ!!」 グラスやゴミをフィールドにいる戦艦型に向かって投げつける観客たち。 オーナー1「うるさい!野次馬ァ!!」 オーナー2「黙れ黙れ!」 オーナー3「どーしようが俺たちの勝手だろ!」 オーナー4「戦いに誤射誤爆はつきものだろが・・・ボケが!」 オーナー5「装甲戦艦!!副砲撃て!!!あの野次馬連中を黙らせろ!!」 装甲戦艦型B「了解、モクヒョウ カンキャクセキ 撃ちかたーーーーーーーーーはじめ!!」 あろうことか、戦艦型神姫のうちの一隻が観客席に向かって副砲で発砲しはじめたのである。 ズンズンズズン!! 観客1「うわあああああああ!!撃ってきたぞ!!」 観客2「キャアアアアアアアアア!」 観客席の2階の中央のテーブルに砲弾が命中し、料理が爆発して飛び散る。 ドガアアアン!! 2階の観客席で春日たちの戦いを観戦していた神代の顔にべちゃっりとケーキのクリームが降りかかる。 脇に立っていたルカが悲鳴をあげる。 ルカ「きゃああ!!マスター大丈夫ですか!!」 神代が顔に付いたクリームを手で拭き取り舌でぺろっと舐めて片つける。 神代「大丈夫だ、問題ない」 バトルも観客席も戦艦型神姫の無差別な艦砲射撃で大混乱になる。 司会者の東條があわててマイクで放送を行なう。 「観客の皆さんはフィールド上の神姫にモノを投げないでください!!フィールド上の神姫は観客の皆さんに攻撃しないでください!!危険です」 フィールドにいる戦艦型が反論の激を飛ばす。 巡洋戦艦型A「最初に攻撃してきたのはアイツラだろ!!これは正当な反撃行為!自衛のための防衛行動だ!!」 装甲戦艦型B「戦艦に喧嘩売るとは上等じゃねえか!!ぶっ殺すぞ!!!!」 観客3「こいつらなんとかしろよ!!」 観客4「危ない!!危ない!!危ないよ!!」 観客5「おまえらは一体誰と戦ってんだ!!このボケカス!!」 春日はアッハハハと大声を上げてパンパンと手を叩いて喜ぶ。 春日「すばらしいこれこそ混乱だ!!戦場に混乱はつきもの!!最高じゃないか!!」 リカルダ「さあて・・・と残りはC集団のみ、ちゃっちゃと終わらせてやろう」 リカルダはヒュヒュンとナギナタを振り回し、突撃する用意に移る。 戦艦型神姫の一群と戦車型、砲台型が多種多様な砲口をリカルダに向ける。 戦車型A「パンツァー1より全パンツァーへ、敵は高速戦闘に特化した航空MMSだ、対空榴弾装填!!穴だらけにしてやれ」 戦車型B「パンツァー2了解」 戦車型C「パンツァー3了解」 戦車型D「パンツァー4了解」 砲台型A「砲撃モードに移行!焦るなゆっくり狙って確実に当てろ!」 砲台型B「畜生!ブチ落としてやる」 砲台型C[負けネーゾ] 重装甲戦艦型「全艦、全砲門開けェ!!火力で磨り潰せッ!!!!」 巡洋戦艦型A「火力とパワーはこちらの方が上だ」 装甲戦艦型A「一億円は俺のものだ」 巡洋戦艦型B「くそったれ、やってやる」 装甲戦艦型B「蜂の巣にしてやる」 ギラギラと目を光らせる大砲を主兵装備とする武装神姫たち 。 戦艦型神姫は巨大な体に据付けられた主砲をゴリゴリと動かす。一撃でも命中すれば神姫を粉々に粉砕できる強力なレーザー砲を搭載し、全身に対空機関砲とミサイルを装備している。単純な火力だけでは戦艦型神姫は最強クラスの戦闘能力を有する。また分厚い装甲に守られ、撃破するのは非常に困難だ。 戦車型神姫は戦艦型とはいかないまでも、強力な戦車砲とそれなりの厚い装甲を備えている。また何台かの同型の戦車型とコンビを組んで安定している。 砲台型もがっしりと地面に腰を下ろし、砲撃モードに移行し、優秀なFCSによって高い命中率と速射性能を有した滑空砲を搭載し待ち構える。 大型の戦艦型神姫、中型の戦車型、小型の砲台型のバランスの取れた鉄壁の布陣で、リカルダを待ち構える20機あまりの重武装の神姫たち。 リカルダとは対照的に、機動性を完全に最初から捨てて、がっしりと待ち構える神姫たちに隙はなかった。 こいつらは、味方ですら遠慮なく攻撃する下種だ。だが、その分勝つことには躊躇せず破壊的なオーラを纏っていた。 間違いなく強敵、そう感じ取った春日は内心、ほくそ笑んでいたが、命令を下す。 春日「大砲屋風情が調子に乗るなよ・・・リカルダ!!遠慮はいらん!!攻撃しろ!」 リカルダ「イエス、イエスマイマスター」 ぐっと身を固めるリカルダ。 さっきまで野次を飛ばして騒いでいた観客たちも一斉に押し黙る。 そしてひそひそと話し声がもれる。 観客1「まさか本当にあの砲火の前に突っ込むんじゃないよな?」 観客2「ありえんだろ?あの完璧な布陣になんの策もなしに突っ込むのは自殺行為だ」 観客3「あの陣形は点や線の攻撃なんて生温いものじゃない、面での攻撃だ」 観客4「面制圧か・・・この猛砲撃を掻い潜って奴らを殲滅できるとしたら、文字通り化け物だ・・・そんな神姫がいるのか?」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>[[]] 前に戻る>「敗北の代価 10」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/busou_bm2/pages/140.html
攻略本「武装神姫 BATTLE MASTERS Mk.2 ザ・コンプリートガイド」の簡易レビュー、間違い・誤植・情報抜けの報告をするページです。 ※間違い・誤植・情報抜けの情報には不足があります。新情報がありましたら「コメント」へ情報提供をお願いします。 簡易レビュー 良い点 ライバルの登場条件、ボスキャラクターの攻略などが詳しく掲載されている。 ドロップする景品とその確率、ミミック・強化ミミックの入荷率なども掲載されている。(個人で検証できない攻略本のみを根拠としたデータのwikiへの掲載は著作物の侵害にあたるため厳禁) 特典プロダクトコード「ギュリーノス・ダーク」付属。 悪い点 攻略本単体としては比較的高額の2,300円。 カテゴリ別の武装データの掲載順がゲームと大きく異なり、武装を探し辛い。ゲーム:平仮名、片仮名、漢字、英数字の順。ヴ=は行。(SORTをNAMEにした場合) 攻略本:英数字、五十音の順。平仮名・片仮名・漢字の区別無し。ヴ=あ行。 ゲーム内での確認の可否を問わず、敵神姫の装備が掲載されていない。 後述する間違い・誤植・情報抜けが散見される。 間違い・誤植・情報抜け エウクランテの固有RA入手時期が間違っている。 レーザーグレネード+VCのCOSTが169とあるが実際は195。 「+GC」「+CG」を混同する、などの誤植が全体的にある。 武装入手条件の情報抜け。 入手武装 会場・大会 マスター スキンファクシ+CL ビットブル火器属性タッグ 島津佳美 OSY010 Aガード+MK ハンマー ライフル杯 麻呂
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2464.html
与太話6 : 第二次戦乙女戦争 それはもはや理由にすらならなかった。 胸の奥に秘めた乱脈を溢れさせたのは、結果。 彼女達戦乙女にとって、この結果こそがすべてだった。 与り知らない意思が一つの決定を下した。 帰結たる決定は彼女達が変貌することと同義だった。 死者を選別する女神は、死者を生み出す死神へ。 羽飾りを返り血で赤く染め、幾多の首を刎ねた剣は鋭さを失っていた。 それでもなお、彼女達は戦場を彷徨い続けた。 結果という終末を繰り返すだけの、行先の無い執念。 広く響くセイレーンの美しい歌声を掻き消すように。 ワルキューレのみっともない僻みの雄叫びが戦場に汚く反響した。 正直なところ、俺はエウクランテの良さをこれっぽっちも理解できない。 怒らないでほしい、誰にだって好みはあるだろう。 社会に跋扈する武装神姫オーナーすべてが、どの神姫であっても愛でられるわけではないはずだ。 アルトレーネだって当然 「パッケージの凛々しい表情に騙された」 などの批判的意見があるわけだし、つまり、コンセプトの異なる神姫を並べてどちらが優れているかと考えるだけ時間の無駄なのだ。 だから決して俺はエウクランテを所持するオーナーに喧嘩を売りたいわけではなく、背比弧域としてはエウクランテよりアルトレーネのほうが良いんじゃないでしょうかと、声高に叫びたいのです。 「だ、だからな、その……」 「分かってますって。心配しなくていいですよマスター」 アルトレーネ再販プロジェクトが頓挫して、その次に同じ道を辿ったはずのエウクランテがどういったわけか再販されることととなり、俺はあの日の狂騒を思い出していた。 不人気と指を刺され目の輝きを失った戦乙女達の、仁義なき戦い。 あの悪夢が再び繰り返されるかと思われたが、エウクランテ再販を知ったエルの反応は予想に反して穏やかだった。 「私は私で、エウクランテはエウクランテです。それにメーカーも違いますしね。私はディオーネの勇気ある号令を待つだけです」 日曜日の正午。 連日の猛暑は今日も和らぐことはなく、パソコンは過剰に熱を持ちブオンブオンと排熱する。 マウスを抱えるようにして操作していたエルはパソコンを離れ、クレイドルに寄りかかった。 「もちろん悔しい気持ちもありますけど、こんなことで自分を見失っちゃったら戦乙女の名折れですからね」 「そっか。いつのまにか成長してたんだな、エル」 「えへへ♪」 自分の神姫がどれほどの人気を集めてるのか、そんなことはエルのデレデレした笑顔を見たらどうでもよくなってくる。 エウクランテが再販されたって俺達に関係はない。 発売予定のゲームのオープニングムービーに何故かアルトレーネの姿が見当たらなくても……いや、これはちょっとどうかと思ったけど。 俺とエルの間にある絆さえしっかりしていれば、他種がどうであれ気に病まなくてもいい。 「でもちょっと気にしちゃいますし、体を動かしてストレス発散したいです」 「じゃあ行くか、神姫センター。もしエウクランテが相手になっても落ち着いて戦えよ」 「あはは、善処します」 そう言ってエルはロングコートを羽織った。 心を持つ神姫は人と同じように過去から学ぶ。 あの日アルトレーネ達によって巻き起こされた第一次戦乙女戦争(あの神姫センターではそう呼ばれている)は多くの神姫のCSCにトラウマを植えつけた代わりに、平和の尊さを広く伝えた。 同じ過ちはもう二度と繰り返さない。 誰もがそう誓った。 そう信じていた。 そして結果的に、信じた俺達はバカだった。 姫乃を誘おうとしたけど、今日は朝から出かけていたらしい。 休日になるとこうしてフラッとボロアパートを抜け出して、一人で電車に乗って旅に出るのが姫乃の趣味だ。 本人は自分探しと言っているが、持ち帰ってくるものは本当の自分などではなくバス釣り用のルアーや賽銭箱に引っかかっていた招き猫の写真など、反応に困るものばかりだ。 一人旅だから俺はもちろんのこと、ニーキすらも置いていく姫乃だった。 「神姫センター行くけど、ニーキも来るか?」 「留守を預かった身だからな、遠慮しておこう」 神姫センター二階バトルスペースはいつもどおり、数台の筐体でドンパチやっていた。 第一次戦乙女戦争のような狂った雰囲気もなく、誰もがバトルに熱中していた。 エルと同じように、誰もが過去の過ちに学び、今を楽しんでいる。 一つの筐体でバトルが終わり、パラパラと拍手が聞こえてきた。 そして順番を待っていたオーナー達が新たに筐体についた。 「マスターマスター、あそこの次のバトルって」 胸ポケットからエルが身を乗り出した。 「アルトレーネ対エウクランテだな」 「これはもうアルトレーネを応援するしかないです。行きましょう」 その筐体のステージは砂漠だった。 アルトレーネ側に近いところで観戦しようとすると、俺の周りの観客もほとんどがアルトレーネとそのオーナーであることに気付いた。 「エウクランテにだけは負けちゃいけないのです! 絶対絶対勝つのです!」 「で、でももし負けちゃったら私達って……」 「そこ! 弱気なことを吐くとはそれでも戦乙女ですか!」 「黙って見てるざぁます。このおニューの胸当てに唾を飛ばさないでほしいざぁます」 「ふぁいと、おーなのです。にぱ~☆」 筐体のもう半分、エウクランテ側にはエウクランテとそのオーナー達が集まっていて、中心で色分けされた筐体にサッカーのスタジアムを思い出す。 頭を一瞬、フーリガンという不吉な単語が過った。 「再販を記念して、絶対勝たなきゃいけないよ!」 「今日さ、マスターの妹に『あたしおおきくなったらえうえうをペットにする~』って言われたんだ……」 「こ、子供の言うことだし悪気はないと思うよ。かわいい妹さんじゃない」 「お前の正義を見せてみろ同胞よ! 熱く激しく燃え上がるんだ!」 「ちょっ、耳元で叫ぶなようるさい」 対戦する神姫二人が砂漠の両端に現れた。 アルトレーネもエウクランテもどちらも標準装備に身を包んでいる。 見た目だけで言えば重装備のアルトレーネに分があるように思われるが、足場の悪い砂漠では空中戦がメインのエウクランテのほうが有利か。 《 G E T R E A D Y ? ―――― A T T A C K ! 》 フリューゲルモードのアルトレーネよりも先に、エウクランテが飛び上がった。 バトルの展開はあまりに一方的だった。 「『 レ ギ ン レ イ ヴ ! 』」 空中戦では手も足も出ないと判断したアルトレーネはスカートを通常形態に戻し、そのままスカート先端の鋏でエウクランテの翼を捉えた。 押さえつけてラッシュを仕掛けようと副椀を引き、それが放たれるより先に、エウクランテは急上昇した。 「わあああっ!?」 エウクランテにぶら下がるように、アルトレーネは高く高く引かれていった。 アルトレーネはエウクランテを捉えたんじゃない。 空を飛ぶ者を、地上からちょっとスカートを伸ばしたくらいで捉えられるはずがない。 アルトレーネは罠に誘われ、乗ってしまっていた。 危機に気づき慌ててスカートを離してしまった瞬間、エウクランテの勝利は確定した。 「『 フ ァ ン ト ム サ ラ ウ ン ド ! 』」 分身したと錯覚してしまうほどの、二刀流による超高速の連続斬撃がアルトレーネを襲った。 観客のこちら側からは悲鳴が、エウクランテ側からは歓声が上がった。 力無く空中に投げ出されたアルトレーネのさらに上、エウクランテは胸の前で剣を交差させた。 「『 ク ロ ス サ ウ ン ド … 』」 先の衝撃から抜け出せていないアルトレーネにダメ押しの十字斬りが叩き込まれた。 「『 エ フ ェ ク ト ォ ! 』」 遙か上空から叩き落とされ、アルトレーネは見てる俺達が怖くなるほどの速度で砂漠へ墜落し、砂塵を巻き上げた。 二人はあまりに格が違いすぎた。 アルトレーネはまだバトル慣れしていないようだったが、それ以上にエウクランテの戦闘技術がずば抜けていた。 デフォルトの武装を装備しているのが不思議なくらい、このエウクランテがかなりの経験を積んでいることは誰の目にも明らかだった。 アルトレーネのLPはまだかろうじて残っているものの、もはや戦闘を継続できる状態ではない。 アルトレーネのオーナーは悔しそうにサレンダーボタンに手を伸ばした――その時。 爆音と共に、再び砂塵が舞った。 「ば、爆発!? アルトレーネが爆発しちゃったのです!」 「いや違う、上だ!」 ギャラリーの一人が指差した先、エウクランテは大型のランチャーを構えていた。 両手に持っていた剣も含め複数の武器で構成されたそれは…… 「『テンペスト!』あの神姫追い討ちをかけやがったざぁます!」 エウクランテはオーバーキルの一撃を放っていた。 これにはさすが抗議の声が上がった。 「ふざけんなよオマエ、どう見たってさっき終わってたじゃねえか!」 「その通りなのです! いくらなんでも酷過ぎるのです!」 「エレガントじゃないざぁます! エレガントじゃないざぁます!」 「おいお前もコイツのマスターなら止めろよ! マナー違反だろうが!」 合体させていた武器『テンペスト』を分解しながら、エウクランテはゆっくりと下降した。 アルトレーネ側のギャラリーからのバッシングを一身に受ける中、しかし顔色ひとつ変えずにボソリと呟いた。 「不人気のくせに」 『いやいやおかしいやろ。そら悪いのは暴言吐いたエウクランテやろうけど、どうやったら大乱闘まで発展するんよ?』 どの筐体からも聞こえてくる崩壊の音と阿鼻叫喚。 「いつまで立っているつもりですか、目障りです! さっさとわたしたちの前に這い蹲るといいのです!」 「またこれかよクソッ! アルトレーネって欠陥品じゃないのか!」 目の輝きを失った戦乙女達による、目も当てられない乱闘劇。 「おまえら再販の話があるだけマシじゃないか! ウチら夏の王者なんて忘ればぎゃっ!?」 「あれ? 今、虫を踏み潰した気がしたのです。でもきっと気のせいなのです」 どの筐体にも多数の神姫が次々と乱入していき、サレンダーボタンにはやはり【何か】が引っかかって押せなくなっていた。 「カグラ、ほむほむ、あの憎たらしい鳥をやっちゃいなさい」 「ホムラと呼――ぬうっ!? 重武装がこれだけ集まるとさすがに厄介だ」 「なんでワガハイばっか狙うにゃ!? ワガハイがなにしたにゃー!!」 アルトレーネ VS その他神姫。 過去に学び努めて冷静だったアルトレーネ達はしかし、心の奥底に溜め込んでいた再販という勝者への嫉妬を【不人気】という言葉で爆発させた。 第一次戦乙女戦争と同じような状況に陥った俺は、やはりあの時と同じように竹さんに電話をかけて泣きついた。 筐体から離れて電話しているが、眺める光景は前回とほとんど同じだ。 この状況まで発展するのにそう時間はかからなかった。 卑劣なオーバーキルで勝利を収め、さらに言ってはいけないことを口に出してしまったエウクランテに制裁を加えようと、怒り狂ったアルトレーネ達は筐体へと入っていった。 それを見たエウクランテ側も制止に入ろうと乱入していった。 いい加減この自由に乱入できるシステムはなんとかしたほうがいいと思う。 『んで、そのエウクランテはどうなったん?』 「速攻でリタイヤした。いくら強くても十数人から一斉攻撃されちゃなあ」 制止を振り切った数多の攻撃がエウクランテに届く直前、あの鉄面皮が剥がれ 「ヒッ!?」 と短く悲鳴を上げたのは痛快だった。 同族により筐体の外へ担がれていったボロ雑巾はオーナーの手に渡り、オーナーは逃げるようにバトルフロアから去っていった。 もう二度と、彼をこの神姫センターで見ることはないだろう。 これにて一件落着……とはいかなかった。 筐体に乱入したアルトレーネ達とエウクランテ達が小競り合いを始めたのだ。 『アルトレーネもエウクランテもそんなケンカっ早い性格やないと思うんやけど』 「それとこれとは話が別だぜ竹さん。注文数が足りずに再販されなかった神姫が、同じく注文数不足だったにもかかわらず再販権を掴んだ神姫に【不人気】と言われたんだ。これは十分な理由になるだろ」 「いや、うん……そんなもんかねぇ」 今回は明らかにボロ雑巾に非があった。 それは残ったエウクランテ達も分かっていただろうし、アルトレーネだって事を大きくするつもりなんてなかったはずだ。 砂塵の中で一瞬だけ睨み合った彼女達は互いに背を向け、筐体から出ていくはずだった。 あの発言さえなければ。 『なに言われたん?』 「エウクランテの一人がさ、『ちょっと今のはやりすぎでしょ。自分達が再販されなかったからって僻んでるんじゃないの』ってね」 『それでキレたんやね、エル達は』 「そうなんだよ。ストレス発散のために来たってのに、逆にストレスが限界突破したぜ」 エウクランテをボロ雑巾にした攻撃のうち半数がアルトレーネおなじみの『ゲイルスケイグル』で、その中にはエルの剣も混じっていた。 エルは今、砂漠に埋もれかかった瓦礫を足場にフィールド上を駆け回り手当たり次第神姫を襲っている。 前回と違って見通しが良いから見失うことはないけど、だからといって俺に出来ることは何も無かった。 『怒り狂ったアルトレーネとエウクランテが暴れて、それに感化されるなり止めようとするなり面白半分で乱入する神姫がどんどん増えていって、今に至るってわけ?』 「いえーすざっつらいと」 『第二次戦乙女戦争勃発やね。このまま三次四次って続けて、そこの神姫センターの名物にしたらどうかね』 「投げ遣りなこと言わないでさ、頼むよ竹さん、また今度も助けてくれないか」 『そうしたいんは山々なんやけど、今ちょっと仕事で遠出しとるんよ』 「仕事って物売屋の?」 『そ。犬が一瞬で猫になる現象を解明せんといかんのよ』 犬が? 猫に? なんだって? 『コタマも連れてきとるし、ホントにごめんやけど私は力になれんわ。兄貴がおったら楽に解決できそうやけど今日はマシロ連れて出かけとるしねえ』 電話の向こうでう~んと悩んでくれている竹さんにこれ以上頼むのは申し訳ないと思った。 「仕事の邪魔して申し訳ない。自分でどうにかしてみる」 『ちょうど休憩しとったとこやし大丈夫よ。でもあんま無理しちゃいかんからね』 「無理して止めたら恨みを買いまくりそうだ」 お礼を言って、通話を切った。 さて、竹さんが駄目となると次にかける先は決まっている。 電話をかけると、同じタイミングで二階と一階をつなぐ階段からピリリリリr…と着信音が聞こえてきた。 丁度階段を上がってきたしょっぱい顔の男は、ポケットから携帯を取り出し確認して、流れるような動作で携帯をポケットにしまった。 「おいコラ、電話が鳴ったら出ろよ」 電話をかけた俺が目の前に現れたのがよほど嬉しいのか、貞方は顔をおもいっきりしかめて「チッ」と舌打ちした。 「ストーカー行為ってか? 背比お前こんなことして一ノ傘さんに申し訳ないと思わねぇのか」 「自分にストーキングされる価値があるとか勘違いすんなよクソが」 「あ、あの、喧嘩はよくないと思います」 「無駄だよハナ姉、この二人の罵り合いはもう挨拶みたいなものだもん」 貞方は左右の肩にハウリン型ハナコとアルトアイネス型のメルを乗せていた。 姫乃お手製の赤いボロボロのマントを羽織った『ちびっ子ヒーロー』のようなメルとはよく顔を合わせていたが、ハナコは随分と久しぶりだ。 具体的に言うと俺がエルと出会って姫乃貞方と花見をした日以来だ。 (おかげさまで そうだ、神姫を買いに行こう~4/4 を投稿してから200日が経過しました。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します にゃー ) 「ようハナコ、久しぶりだな。検査してたんだって? 元気そうでなによりだ」 「はい。背比さんもお変わりなく」 ハナコは貞方の肩の上でペコリとお辞儀した。 相変わらず素直な良い子だ。 「で? 電話の用事は………………またコレかよ」 「エル姉もやっぱりいるんだよね、あの中に」 メルが指差した筐体のうち一つで、もう何度目になるかも分からない大爆発が起こった。 「いえーすざっつらいと」 「もう、なにやってんのさエル姉! お兄さんもちゃんとエル姉の手綱握ってないとダメでしょ!」 今回はちゃんと理由があったんだと言い訳しようとしたけど、言ったところで 「言い訳しないの!」 とさらに怒られそうだったから素直に謝った。 それにメルにはまた前のようにエルの正気を取り戻してもらわないといけないし、ここは少しでも機嫌を伺っておいたほうがいいだろう。 「まさか背比お前、またメルをあの中に投下しようとか考えてないだろうな」 「いえーすざっつらいと」 「最悪だなお前……また竹櫛さんに頼めばいいだろ、俺は知らん」 引き返そうとする貞方を留めようと手を引くと、貞方の両肩のエルとハナコが落ちそうになった。 「そう言うなよ、ここまで来たんだからちょっとくらい付き合えって」 「嫌に決まってんだろアホが。だいたいお前が――」 言いかけて、貞方は少しの間思案した。 考える姿が気色悪い。 「――いや、丁度いいかもな。ハナコ、腕が鈍ってないか試してみるか」 ハナコの返事を待たずに貞方はアタッシュケースを開いた。 その中に黒いスポンジが敷かれていて、神姫用のパーツが整然と並んでいた。 メルが使う可変スカートや、その中に隠す多種多様の武器も見受けられる。 貞方はケースの中から一塊のパーツを取り出した。 「なんだそりゃ。パイルバンカーか?」 「は? 槍に決まってるだろうが」 あまりにも貞方が当然のように言うものだから俺が間違えたような気になってしまうが、俺の知る【槍】は細長い棒の先に刃物がついているもので、それは決してバズーカの先から申し訳程度に尖った何かが覗いているような代物ではない。 バズーカのような部分にもゴテゴテと機器が付いている。 あれはグレネードランチャーだろうか。 俺はてっきり、グレネードランチャーはアサルトライフルの銃身の下に取り付けられるものと思っていた。 まさか槍にまで付く時代が来るとは、いやはや兵器の進化(退化?)はすごい。 このゴツい槍もどき以外の防具は普通のハウリンのものだった。 丸っこいデザインの防具をテキパキ装備するハナコは「この武装も久しぶりです」とやる気十分だった。 「貞方お前、検査上がりのハナコをこんな戦場に放り出すとか鬼かよ。勘を取り戻すためならもうちょいマシなやり方があるだろ」 未だ衰えることを知らないアルトレーネ達の狂気が充満する筐体に、健気なわん子を向かわせるなんて残虐非道にも程がある。 「お兄さんボクを戦わせようとしたよね……ボクはいいんだ……」 「あ、いや、そういうわけじゃなくてだな」 「なんてね、冗談。ハナ姉なら大丈夫だよ。そっか、お兄さんは知らないんだ」 「何を?」 早くも準備を終えたハナコを抱えたアタッシュケースに乗せた貞方は、手近な筐体に近づいた。 そして「攻撃してもいいんだぞ」「すみません、攻撃はやっぱりちょっと」と軽いやりとりの後、ハナコは混沌真っ只中の森林のステージへと足を踏み入れた。 貞方の肩の上、メルは得意気にこう言った。 「ハナ姉はね、この辺りで【ディフェンダー】って呼ばれてるんだよ」 『ディフェンダーね、結構有名やよ』 昼間の暑さが多少和らいだ午後十時。 クレイドルの上で自主的に正座しているエルを尻目に、竹さんに今日の顛末を教えとこうと電話した。 しかしまさか、ハナコがあそこまで凄いとは想像もしなかった。 森林のステージへ踏み入ったハナコは森へは入らず、森を二分割する川に沿ってステージ中心まで歩いていった。 第一次戦争でエルとメルが戦った場所に近い。 ステージのほぼ全域が木に覆われて見通しが悪い中、唯一障害物の無い川沿いを歩く神姫は格好の的になってしまう。 そこをあえて歩くハナコに目をつけた数対のアルトレーネは一斉に飛びかかった。 前から後ろから、右から左から、さらに上から襲い来る恥も外聞もない攻撃を、ハナコは完全に止めきった。 ハナコが持つゴツい槍もどきから複数のギミックが同時に解放され、ハナコを守ったのだ。 でも本当に凄いのはそれからだった。 それだけ高性能(と呼んでいいのかも分からないが)な槍もどきを持っておきながら、ハナコはアルトレーネ達から繰り出される攻撃をひたすら防御するだけで、能動的な攻撃を一切行わなかったのだ。 躍起になったアルトレーネが攻撃をさらに激化しようと、ハナコを襲う者が次から次に増えようと、ハナコは防御に徹していた。 そしてアルトレーネ達のほうが疲弊し毒気が抜け切るまで、ハナコが傷ひとつ負うことはなかった。 「貞方を褒めるわけじゃないけど、あれは凄いとしか言い様が無いわ。つーか、今までそのディフェンダーって二つ名を聞かなかったことが不思議でならん」 『ハナコって全然攻撃せんやろ? でも絶対攻撃喰らわんし、普通にバトっても勝負にならんのよ。やから貞方もあんまし戦わせんらしい。ハナコがあんましバトル好きやないってのもあるらしいけど』 「なるほどねえ。じゃあハナコって勝つことはないけど絶対に負けないんだ」 『いや、普通に負けとるよ』 攻撃を一切受けないのに、どうやって負けるんだ。 ダメージを負ってもないのに降参するわけもないし、判定負けだろうか。 『相手が例えば 「じゃんけんで勝負だ!」 とか言うやん? ハナコって優しくてそれに乗ってしまうんよ』 「しょうもない!」 そんな勝ち方で相手は満足するんだろうか。 一応二つ名を持つくらいの神姫相手に勝ち星を付けられるんだから、自慢にはなるだろうけど。 「コタマとハナコって勝負したことある?」 『無いね。やってみたら面白そうやけど』 冗談のような攻撃力と凄い防御力か。 矛盾って言葉ができたエピソードっぽいな。 「ドールマスターとかディフェンダーとか、二つ名っていっぱいあんの?」 『いや、他は聞いたことないねえ。エルにカッコイイ二つ名つけて名乗らせてみたら?』 「コタマとハナコに並ぶ神姫なんてそうそういないっての」 しょぼくれて正座する戦乙女が 【ソニックフリーク】 とか呼ばれてたら恥ずかしくて神姫センターに出入りできない。 しかし便利だな、この二つ名メーカー。 《エル》 と入力したら 《疾風戦機(ソニックフリーク)》 って出てきたけど結構それらしくないか。 『しっかし不人気ねぇ。コタマも今日そのことでギャーギャー騒いどったけど、人気ってそんな大切なもんかねえ』 「そりゃあ大切だろ。エルに聞いたわけじゃないけど、自分と同じタイプが人気出たら嬉しいに決まってる。竹さんだって、子供の頃 『アイドル歌手になりたい』 とか思わなかった?」 『こ、子供の頃? そ、それって、その、小学生とか?』 「いや、小学生に限定しなくてもいいけど」 『……まぁ、でも、可愛いものに憧れるってのはあったかもしれんけど』 これ以上は言いたくないらしく、竹さんは電話の向こうで口籠ってしまった。 神姫は戦うよう作られているけれど、同時にアイドルでもある。 戦って勝つためならゴリラのような大男でも作って鈍器やら自動小銃でも持たせればいいけど、誰だってそんなものは望んでいない。 人から望まれるように、彼女達武装神姫は存在する。 望まれることそのものが、彼女達にとってステータスの一つになる。 「ごめんな竹さん、今日は仕事の邪魔しちゃって」 『ん? 大丈夫やって、無事解決したし』 「解決って、昼間言ってたよくわからん事件だよな」 犬が猫になる? いや猫が犬になる? ああもうわけわからん。 「そうそう聞いてよ。その事件がねえ――――」 それからたっぷり二時間は竹さんと電話していた。 通話中ずっとチワワのように目を潤ませ何かを訴えていたエルの脚は限界を超えて、もはや自力で正座を崩すこともできなくなっていた。 こんなどうでもいい部分まで人体を再現するとは、恐るべし武装神姫。 開発者の努力に最大限の敬意を払いつつ、エルの脚を指でつついた。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― エウクランテを悪役として登場させてしまいましたが、恨みがあるわけではありません。 不快に思われた方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― エウクランテ再販ですか。 アルトレーネは? ねぇアルトレーネは? でもそれ以上に、 な ぜ 再 販 決 め た し 再販プロジェクトで需要調査して、あれくらいの数なら利益出るってことだったんでしょうか。 商売というものはよく分かりません。 それと、もうベルンシリーズはお腹いっぱいです。 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2142.html
ウサギのナミダ ACT 1-22 ◆ ギャラリーにはどう見えているだろうか。 おそらくは、力と技がぶつかり合う、真っ向勝負に見えているだろう。 確かに、雪華は正々堂々、真っ向勝負を挑んできた。 逃げない。揺らがない。 ミスティ得意のレンジに踏み込んでまで勝負を挑んでくる。 その姿勢を貫き、勝利を目指す。 それこそが『クイーン』の二つ名の由来であり、神姫プレイヤーから人気を集める理由だった。 だが、バトルの当事者は思い知る。 真っ向勝負? とんでもない。 劣勢とか、そう言うレベルじゃない。 『そこでリバーサル! 二連撃!!』 菜々子の指示が飛ぶ。 もう何度目かの得意技。 この間合い、このタイミング、この速度、そして身体をロールさせながら繰り出す二連撃。 熟達したアーンヴァルでも、このリバーサル・スクラッチはかわせない。 だが。 雪華は、これを紙一重でかわす。手にした剣で反撃すらしてみせる。 「くっ……!」 正々堂々? 真っ向勝負? 違う。 これは「練習」だ。 こっちの本気を練習台にしてしまう、圧倒的実力差。 ミスティは敵を見上げる。 空中に浮かび、羽を広げた雪華は、まるで降臨した大天使のようだ。 その美しい姿に、ミスティは戦慄した。 「本身は抜かないのかよ!?」 「あれは、そう簡単に抜けるもんじゃないのよ!」 虎実の叫びに、菜々子は応える。 虎実は、ミスティの攻撃が雪華に全く効いていないことを見抜いているようだ。 『本身を抜く』には、試合前からしっかり心構えをする必要がある。 バトル中に切り替えるような便利な使い方はできない。 それに、たとえ本身を抜いたところで、食い下がれるかどうか。 (……まさか、これほどとは) 菜々子は戦慄する。 正々堂々のバトルロンドで、こうもあしらわれるのは初めての経験だった。 どうすればこれほどの実力が身につくというのか。 だが、諦めるわけにはいかない。 せめて一矢報いなくてはならない。 『エトランゼ』の名に賭けて。 そして、遠野とティアにつながなくてはならない。 菜々子は絶望と戦いながらも、ミスティに矢継ぎ早に指示を出していく。 ■ 帰りの電車の中、わたしはずっと考えていた。 マスターのこと。 マスターがわたしを守るために、すべてを賭けてもいいと、言ってくれたのだという。 エルゴの店長さんがそう言っていた。 わたしには、マスターの想いが分からない。 わたしの過去が暴かれたせいで、あれほど酷い目に遭わされたというのに。 それでもなお、わたしを自分の神姫にするために、全力を尽くしてくれている。 マスターのその想いが伝わって、店長さんを動かし、刑事さんを動かし、風俗のお店がなくなって、多くの風俗の神姫が救われた。 それほどの大きな想いをわたしに向けてくれている。 なぜですか? なぜ、それほどまでに、わたしにこだわるんですか? わたしはそんな価値のある神姫ですか? わからない。 わかりません。 わたしにできることなんて、マスターのそばにいて、マスターの指示通りに走るこくらいなのに。 シャツの胸ポケットから、マスターを見上げる。 マスターは物思いに沈んでいるようだった。 この間までのつらそうな表情でないのは救いだったけれど。 わたしはマスターの心に寄り添えないままだった。 刑事さんはわたしに、素晴らしいマスターの神姫であることを忘れてはいけない、と言った。 それはもちろんなのだけれど。 そのマスターのために、わたしは何がしてあげられるんだろう……? □ 時間がないので、昼食は電車の中でパンをかじった。 一度アパートにとって返し、ティアの武装一式を手にして駅前に戻る。 ゲームセンターに着いた時には、久住さんの電話から、もう二時間以上が過ぎていた。 久々のゲームセンターの入り口。 俺は少し感傷的になる。 一歩を踏み出すのが少し怖い。 俺は店の出入りを拒否されているわけで、躊躇するのも分かって欲しいところだ。 久住さんはいるだろうか。 自動ドア越しだと、奥の様子は分からない。 彼女がいてくれないと、俺は針の筵なんだが。 それでも俺が足を進められたのは、今朝方の出来事があったからだろう。 すくなくとも、もう店に黒服の男たちが現れることはない。 自動ドアが開く。 まず俺の耳に聞こえてきたのは、神姫の怒声だった。 「なぜだっ!! なぜあんな淫乱神姫にばっかりこだわるんだ!?」 叫んでいるのはハウリン。 その声を受け流しているのは、銀髪のアーンヴァルのようだ。 「迷惑なエロ神姫なんかより、あたしの方がよっぽど強いのに!!」 「随分とご挨拶だな、ヘルハウンド」 俺が静かに言うと、武装神姫コーナーにいた全員が俺を見た。 「黒兎のマスター……」 ヘルハウンドは怒りの眼差しを俺に向けてきた。 憎悪すら込められていそうだった。 「……遠野くん!」 ギャラリーから抜け出して、久住さんが駆け寄ってきてくれた。 いつものようにジーパン姿のラフな格好。俺は安心したような、残念なような、複雑な気分になった。 「連絡ありがとう。……遅くなってごめん」 「ううん。来てくれてよかった」 いつもよりも微笑みが弱々しく見えるのは気のせいだろうか。 そのとき、ギャラリーの一角から、声があがった。 「おいっ! 黒兎のマスター!! ど、どの面下げてここにきたっ!!」 三強の一人、『ブラッディ・ワイバーン』のマスターがこちらを指さして喚いている。 俺にはそれほどショックはなかった。 こうした中傷は予想の範囲内だったので、心構えもできている。 と、いきなり久住さんがワイバーンのマスターを睨みつけた。 「わたしが呼んだのよ。文句ある?」 耳が凍傷になってしまいそうなほどに冷たい声。 ワイバーンのマスターはそれだけで、急に黙り込んでしまった。 ギャラリーも、何か言いたげな表情だが、黙ったままだ。 ……いったい、どうなっているんだろうか。 俺が驚きを隠せずにいると、久住さんの後ろから、さきほどの銀髪のアーンヴァルを肩に乗せた青年が近づいてきた。 「あなたが、ハイスピードバニー・ティアのマスターですね?」 人が良さそうに微笑む青年と、真剣な面もちの銀髪の神姫。 その後ろに、カメラ用のベストを着用した、年上の女性がいる。 「……遠野くん、彼らがティアを助けてくれたの」 「高村優斗です。こちらは僕の神姫で、雪華」 青年とその神姫は、礼儀正しく会釈した。 それから、後ろの人物を示し、 「それから、この人は、僕らの取材をしている、『バトルロンド・ダイジェスト』の三枝めぐみさん」 「よろしく~」 三枝さん、というその女性は、ひらひらと手を振った。 俺も挨拶する。 「遠野貴樹です。それと、俺の神姫のティア」 「は、はじめまして……」 「ティアを助けてもらって……助かりました。感謝してます」 もう一度俺はお辞儀をした。 顔を上げると、高村と名乗った青年は、ゆるやかに首を振っていた。 「いえ、大したことではありません。 僕たちも、対戦希望の相手を助けられてよかった」 やはり、そうか。 俺はその一言で確信する。 この青年と神姫は、海藤の家で見た映像の、彼らだ。 「まさか、あの『アーンヴァル・クイーン』がティアを助けてくれたとは、正直驚きです」 「僕たちも驚いていますよ。……ああ、僕たちのこと、もう知ってるんですね」 「……秋葉原のチャンプが俺たちと対戦を希望するなんて……冗談じゃなかったんですか」 「まさか。冗談であんなこと言ったりしません」 高村はそう言って微笑んだ。 やたらと人が良さそうな青年だと思う。 その高村の肩に座る、美貌の神姫が口を開いた。 「あなた方との対戦に、ここまで足を運ぶ価値がある、と考えてのことです。 バトルが所望です。いかがですか、『ハイスピードバニー』のマスター?」 長い銀髪を背に流した神姫の言葉は、威厳すら備わっているように感じられる。 なるほど、『クイーン』二つ名は伊達ではない、か。 俺は雪華の問いに、静かに答えた。答えは決まっていた。 「残念だが、お断りする」 ギャラリーがどよめいた。 全国大会レベル、しかも優勝候補とのバトルだ。対戦してみたいと思う方が普通だろう。 しかも、三強の対戦希望を断ってまで、俺たちとのバトルに集中しようとしているのだから、神姫プレイヤーなら受けて立つのが筋と言うものだ。 久住さんが俺の肩にそっと手をおいた。 「遠野くん、彼らはティアを助けてくれたのよ?」 「わかってる。でも、それとこれとは話が別だ」 その手を、俺は邪険にならないようにそっと、はずした。 そして、俺は雪華に向き直って言い切った。 「ティアを助けてくれたことには感謝してる……本当に、感謝してもしきれない。 でも、君たちとバトルはできない」 「なぜです? 理由を教えていただけますか?」 「……君たちがマスコミの取材を受けているからだ」 高村の背後にいた女性は、きょろきょろと辺りを見回すと。 「あ、あたし……!?」 三枝さんは、自分を指さして、びっくりしていた。 俺は高村に話を続ける。 「対戦を申し入れてくるんだから、今俺たちがおかれた状況は知っているんだろう?」 「あぁ、うん。先週来たときに、どうも様子がおかしかったので、調べさせてもらいました」 「だったら分かると思うけど……いま、こんな風に俺たちがゲームセンターで歓迎されていないのも、雑誌記事のせいでね。 今俺は、完璧なマスコミ不信なんだ」 「……それで、僕たちの挑戦を受けないのと、どういう関係が?」 「『バトロンダイジェスト』の、君たちの記事は俺も読んでる。テレビ放送であんなことを言ったんだ。当然、俺たちとのバトルも記事にするつもりなんだろう?」 雑誌記者の三枝さんは俺の言葉に頷いた。 「だったら、対戦なんて受けられない。結果がどうなるにせよ、何を書かれるか分かったものじゃない。今の状況に拍車をかけられたら、たまらないからな」 「……ちょっと! さっきから黙って聞いていれば随分な言い方ね! うちとあんな低俗雑誌を一緒にしないでもらいたいわ!」 三枝さんがたまりかねたように口を挟んだ。 彼女がカチンときているのももっともだ。 なぜなら、俺自身、わざとひどい言い方をしているのだから。 「俺からしてみれば、大して変わらない。 三枝さん、と言いましたか。 あなただって、バトロンダイジェストの記事を書くにあたっては、俺たちに無様に負けて欲しいでしょう? 『クイーン』の連載記事なら、俺だって雪華の華々しい活躍が書きたい。 俺たちみたいな醜聞のただ中にいる神姫プレイヤーを叩きのめす記事なら、うってつけですから」 「なんてこと言うの……うちに記事が載れば、あなたたちだって、評価があがって、誤解が解けるかも知れないじゃない!」 「随分と上から目線ですね。 俺は取材をしてもらいたいだなんて、一言も言ってない。 むしろ迷惑だ。 だったら、あなた方はむしろ、取材させてくださいとお願いする立場なんじゃないんですか?」 三枝さんは言葉に詰まった。 少し心が痛む。 マスコミへの不信感は本当だ。だが、三枝さん個人に恨みがあるわけじゃない。 三枝さんをダシにして、このバトルを断ろうとしている。だから、彼女に悪いところがあるわけではないのだ。 久住さんの手が、また俺の肩におかれた。 「遠野くん……言い過ぎよ」 「……わかってる」 俺は一瞬だけ、彼女の手に触れた。 久住さんはため息をついただけで、何も言わなかった。分かってくれたのだろうか。 俺と三枝さんが睨み合う。 一瞬の沈黙。 それを破ったのは、雪華の声だった。 「それならば、ティアとの対戦は取材をしないようにしてもらいます」 「って、ちょっとぉ!?」 あわてたのは三枝さんだ。 「あなたたちとは、全国大会までの動向のすべてを取材する契約でしょう!? たとえ草バトルとはいえ、取材しないわけにいかないわよ!」 「ならば、契約を解除します。そうすれば、ティアと戦える」 三枝さんが絶句した。 マスターの高村が口を挟む。 「雪華……『バトルロンド・ダイジェスト』からは、いっさいの取材を断らない代わりに、スポンサードを受けている。そういうわけにはいかないよ」 「スポンサー契約など無くても、わたしたちは全国大会を戦えます。また、契約があるからといって、勝ち抜けるとは限りません。 セカンドリーグの全国大会選手でも、そんな契約をしているのはほんの一握りでしょう。大多数の選手と同様の条件でも、わたしたちは十分に戦えるはずです」 ……何か話が大事になってきた。 雪華の言うスポンサー契約は、神姫プレイヤーが特定の企業や団体と契約を結んで、バトルロンドの活動資金や武装などを出してもらうことだ。 そのかわりに、その神姫はメーカーが提供する武装やパーツを使用したり、ボディなどにメーカーロゴをペイントしたりして、広告塔としての役割を果たす。 通称「リアルリーグ」と呼ばれるファーストリーグは、そうしたスポンサー契約も盛んに行われている。 セカンドリーグではあまりそういう話はない。セカンドリーグ上位の有名神姫プレイヤーくらいだろうか。 雪華は『バトルロンド・ダイジェスト』と契約を結んでいるらしい。 バトルロンド専門誌からスポンサー契約を受けているとは、どれだけ実力があるということなのだろうか。 それにしても、俺たちとの対戦がそこまで重要か? スポンサー契約がなくなれば、資金面で厳しくなる。 そうした契約自体が少ないセカンドリーグとはいえ、全国を勝ち抜くにあたって、資金がないよりはあった方が有利であるはずだ。 それを雪華は、俺たちとの対戦で捨ててもいいと思っている。 いったい、何を考えているのだろう。 「だったら、そんな腰抜けほっといて、俺たちの挑戦を受ければいいじゃねーか。俺たちは取材、大歓迎だぜ?」 その声に、ギャラリーも沸く。 口を挟んだのは、『玉虫色のエスパディア』のマスターだった。 どうも、三強はクイーンに対戦を申し入れて、ことごとく断られたようだ。 にやにやとした笑みを張り付けた顔に、雪華は冷たい一瞥を放った。 「……あなた方との対戦は、意味がありません」 「な……なんだと……!?」 「わざわざここまで足を運んできた意味がないのです。 わたしたちがハイスピードバニーやエトランゼと対戦を望むのは、彼女たちが唯一無二の戦い方をしているからです。 わたしが東東京地区大会のインタビューで挙げた武装神姫は、いずれもそういう戦いを展開し、大会にはエントリーしない神姫ばかりです。 わたしはそのような神姫との戦いを望んでいます。 ただ強いだけの神姫なら、ここまで来る必要がないのです」 高村は、雪華の言葉に、肩をすくめて頷いていた。 なるほど。確かに、ティアの戦い方は唯一無二だろう。雪華はそこに価値を感じているということか。 三強は確かに強いが、大会にでてくる神姫に比べると見劣りがする。戦い方も、標準の域を出ない、というところか。 見れば、玉虫色のマスターは、口をぱくぱくさせながら、怒りの矛先を向ける方向を失っているようだった。 神姫にあそこまで言われたなら、もっと噛みついてきてもいいはずなのだが……何か思うところがあるのだろうか。 そんなことを考えていると、左胸のあたりから声がした。 「マスター……」 「どうした、ティア」 「雪華さんとの対戦、受けてください……お願いします」 突然何を言い出すんだ。 俺は驚いて、ティアを見下ろす。 雪華の様子を見ていたティアは、不意に俺の方へ視線を向ける。 その顔には必死さが滲んでいた。 次へ> トップページに戻る